新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行を受けた各国特許庁における期限延長や救済措置の概要
2021年04月NEW
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行を受けた
各国特許庁における期限延長や救済措置の概要
以下は海外代理人から入手した各国特許庁の動向について概要をまとめたものです。状況の変化により各国特許庁の対応は刻々と変わる可能性がありますので、以下の情報は最終更新日時点での各国動向を示す参考情報としてご参照ください。情報の正確性を保障し得るものではないことはご了承ください。手続の種類により運用等が異なる可能性もありますので、お客様の個別案件において期間延長や救済措置の適用に関してご不明な点がございましたら海外代理人に問合せをさせていただきます。
(最終更新日 2021年4月13日)
【日本】
特許庁
令和3年3月22日、東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県における、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言が解除された事を受けた措置について以下の公表がありました。
https://www.jpo.go.jp/news/koho/info/covid19_shutsugan.html
1月12日より閉鎖していた正面玄関は、3月22日よりご利用可能となりました。
窓口での出願等の受付について
・特許庁本庁舎においては、来庁される方に対して検温が実施されます。
・感染拡大防止のため、出願等については、引き続き、電子出願(電子証明書をお持ちの方)や郵送(書留、簡易書留を推奨)による手続にご協力ください。
面接による審査・審理について
対面の面接は原則行われません。
インターネット回線を利用したテレビ面接、Webアプリケーションを利用した面接や電話による相談が可能です。
スーパー早期審査等に対する対応について
リンク先(Q&A)の「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時対応について」をご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/faq/yokuaru/patent/super_souki_qa.html
口頭審理の対応について
口頭審理については感染拡大防止措置を講じた上で原則として実施されます。
口頭審理の具体的な期日については「口頭審理・証拠調べ・巡回審判期日」をご覧ください。
https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/general-koto/kousyo.html
問い合わせについて
新型コロナウイルス感染症に関する問い合わせ先一覧
https://www.jpo.go.jp/news/koho/info/covid19_toiawasesaki.html
その他、一般的な問い合わせ先一覧
https://www.jpo.go.jp/faq/list.html
特許庁に係属中の出願又は審判事件について
(1)指定期間について
特許庁に係属中の出願又は審判事件について、新型コロナウイルス感染症の影響により、指定された期間内に手続ができなくなった方は、手続ができなかった事情を説明する文書を添付していただくことで、必要と認められる場合には、指定期間を徒過していても有効な手続として取り扱うものとします。
(2)法定期間について
手続すべき期間が法律又は政省令で定められている手続について、新型コロナウイルス感染症の影響により、所定期間内にできなくなった方は、救済手続期間内に限り手続をすることができます。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて手続ができなかった事情を説明する文書を添付してください。必要と認められる場合は、有効な手続として取り扱うものとします。
<新型コロナウイルス感染症により影響を受けた手続の取り扱いについて>
https://www.jpo.go.jp/news/koho/info/covid19_tetsuzuki_eikyo.html
新規性喪失の例外適用
証明書の押印及び署名が不要となりました。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/hatumei_reigai.html
審判事件
・審判事件における手続について、新型コロナウイルス感染症の影響により、指定された期間内に手続ができない方は、当該指定された期間内に、指定期間の延長の申出をすることができます。
https://www.jpo.go.jp/news/koho/saigai/covid19_sinpan.html
「不責事由」及び「正当な理由」による救済
・新型コロナウイルス感染症により影響を受けた手続における救済については、当面の間、証拠書類の提出を必須としない等、柔軟な対応を行うこととします。
https://www.jpo.go.jp/news/koho/saigai/covid19_tetsuzuki_kyusai.html
(2021年3月24日更新)
【WIPO】
・紙形式による通知類の郵送を一時休止、電子メールによってのみ送付
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tetuzuki/20200331_covid19.html
・世界の各国特許庁の対応をまとめたCOVID-19 IP Policy Trackerをリリース(英文)
https://www.wipo.int/covid19-policy-tracker/#/covid19-policy-tracker/ipo-operations
[よくある質問(Q&A)]新型コロナウイルス感染症拡大に伴う対応等について(PCT国際出願)
特許庁HPにPCT国際出願手続における救済措置についての説明が記載されています。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tetuzuki/covid19-pct-faq.html
(6月11日更新)
【欧州】
欧州特許庁(EPO)
・原則として、異議事件に係る口頭審理は2021年9月15日までビデオ審理となる
・2021年1月から、ビデオ会議による証拠調べが可能となった
・当事者の同意を得ることなく審判部はビデオ会議により口頭手続を実施することができることを明確化する新規定が追加された
https://www.epo.org/news-issues/covid-19.html
(2021年1月4日更新)
欧州連合知的財産庁(EUIPO、意匠・商標)
3月9日から5月17日までの期限は5月18日まで自動延長
5月18日を越えて更なる延長はしないことを決定
https://euipo.europa.eu/ohimportal/news/-/action/view/5726800
(5月22日更新)
ドイツ
・2020年10月19日以降、ヒアリング及び口頭審理は予定されていない
・その他の期限は原則通常通り、但し期限徒過の理由により救済の途あり得る
・全てのオンライン業務は稼働中
(2021年1月4日更新)
英国 (UKIPO)
業務停止期間は7月29日で終了
(7月30日より通常業務再開)
(6月24日更新)
スペイン
特許商標庁:6月1日より通常業務開始
・延長されていた期限は、6月1日から再計算される
裁判所:6月4日より通常業務開始
・延長されていた期限は、6月4日から再計算される(5月22日更新)
(5月28日更新)
イタリア
2月23日~4月15日の期限を4月15日までの日数分延長する
2月23日以降期限の年金・更新は、6月15日まで延長
IP裁判所:期限延長5月11日まで
口頭審理は延期。但し、緊急案件はMicrosoft Teamsで開催
(4月30日更新)
フランス
法的保護期間終了日は、緊急宣言期間終了から1ヶ月の2020年6月23日に設定された
期限延長計算:
応答期限が、3月12日以降であって緊急宣言期間終了後1ヶ月の間に期限が到来する案件は、
Office Delay (特許庁側の責任による遅れ) が1ヶ月以内の場合、緊急事態終了後2ヶ月延長される
Office Delayが2ヶ月或はそれ以上の場合、緊急事態終了後3ヶ月延長される
例:
緊急宣言期間が4月28日に終了した場合、期限が3月12日~4月28日までであった案件で、
Office Delayが1ヶ月以内の案件についての期限は6月28日となる
Office Delay が2ヶ月以内の案件についての期限は7月28日となる
(6月8日更新)
ギリシャ
・特許庁はパンデミックの間も通常業務を続けていた
・6月12日までは、委任状の追完が認められていたが、パンデミックも収束しつつあるので、
これ以降は、3か月の有効期間経過後の追完は認められない
・委任状の電子サインは認められない
・名義変更には公証・アポスティーユ済みの証明書(ライセンスアグリーメント等)が必要であり、
6月12日以降の追完は認められない
(6月19日更新)
トルコ
・法的手続きの期限が6月15日まで延長
・優先権主張期限は期限延長の対象外
・PCT国内移行期限は期限延長の対象外
・EPのValidationsは期限延長の対象
・2020年3月13日以後で期限を徒過した出願人は、遡及申請を提出できる権利が有る
(5月13日更新)
ロシア
・3月30日~11月30日に期限が到来する案件の期限は12月31日まで延長可能
・但し、既に期限を徒過している場合は、7月22日までに延長申請が必要
・期限がまだ到来していない案件については、本来の期限から1月以内に延長申請が必要
(7月8日更新)
ユーラシア特許庁
特許庁:業務再開
コロナ感染症が原因で期限を徒過した場合、個別に回復措置や期限の延長の申請を受け付ける
(6月12日更新)
【北米】
米国
・3月27日~5月31日に期限が到来するOA応答、登録料支払い、その他PTAB関連事項の
一部は、理由説明書の提出と同時に、6月1日までに提出・支払いすることにより当初期限まで
に提出・支払われたものと見なされる。
(理由の例:オフィス閉鎖等により出願人、発明者等が個人的に新型コロナウイルス感染症の影響を受けたこと)
・中小企業(small and micro entities)については、
上記6月1日までの延長期限が更に7月1日まで延長される
・中小企業については、更に3月27日~9月29日が期限となる出願費用等の支払いについて、9月30日までに支払った場合、期限内に支払ったものとみなされる。但し、支払いの遅れがコロナウイルス感染症に起因する旨のステートメントが必要
・大企業に関しては、5月31日を過ぎた場合、個別対応で上申書等提出により救済が受けられる。
・COVID-19感染症が原因とする延長申請のフォームを公表
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/sb0449.pdf?utm_campaign=subscriptioncenter&utm_content=&utm_medium=email&utm_name=&utm_source=govdelivery&utm_term=
・復活のための請願費の減免措置
対象
2020 年5 ⽉31 ⽇までに放棄となってしまった特許出願または再審査については、「出願人、発明者、代理人がコロナウィルス感染症によって個人的に影響を受け、そのために期限内に応答できなかった」場合には、復活のための請願費が減免される。
但し、宣誓書が必要
↓ 期限延長・救済措置等をまとめたUSPTOのウエブ
https://www.uspto.gov/coronavirus
・優先権の回復
優先権主張期限が3月27日~7月30日である米国出願についての優先権回復期限:
(a)2020年7月31日、又は
(b)12月の優先期間+2月の回復期限、の遅い方まで延長可
嘆願書(petition)及びCOVID-19が原因で期限内に優先権を伴う後の出願ができなかった旨の声明(statement)を添付することで手数料を免除
・Patents 4 Partnerships
知的財産(IP)マーケットプレイスプラットフォーム「Patents 4 Partnerships」:
ライセンシング可能なCOVID-19パンデミックに関連する特許および公開特許出願を検索できるプラットフォームの提供開始
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/patents4partnerships20200501.pdf
・優先審査
FDAの承認を要する新型コロナウイルス感染症(COVID─19)用のプロダクト及びプロセスに
ついて、優先審査を開始する
500件の予定
7月13日より申請受付開始
https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/uspto-announces-covid-19-prioritized-examination-pilot-program-small-and
・ファストトラック審判 試行プログラム
開始日:2021年4月15日
対象:COVID関連特許出願であって、PTABへの査定系審判請求
但し、COVID-19対策に使用されるプロダクト又はプロセスであって、
FDAの許認可を受けうる案件に限る。
審理期間目標:プログラム参加が認められた日から6ヶ月以内に審決を下す。
手数料: 無料
受付件数上限: 500件
留意点:口頭審理の日程は一度決定すると変更できない
(2021年4月13日更新)
カナダ
・期限再延長:2020年8月31日(月)まで(期限延長はこれで最終)
・医薬品の不足時等に、特許に対する強制実施権の設定が可能となった
設定可能期間は9月30日まで、1年間の強制実施権を設定
(8月21日更新)
【中南米】
メキシコ
特許庁、7月13日より業務を再開
3月27日~7月12日まで停止されていた期限は7月13日となる
(7月31日更新)
アルゼンチン
3月12日から一時停止していた期限は2020年12月14日から再びカウントされる。
但し、
3月12日より後から始まる期限には、追加の30日が付与され、2021年1月12日から、期限がカウントされる。
3月12日より前から始まっていた期限は、2020年12月14日から、残りの期限がカウントされる。
(12月11日更新)
ブラジル
6月1日(月)から期限再延長は無い決定
・窓口業務は6月15日(月)から再開
・延長後の期限は、業務停止した時から再計算される
・期限がまだ到来していない案件については、6月1日から計算される
新型コロナウイルス感染症の診断、予防、治療に対する医薬品、プロセス、医療機器、及び材料に関連する特許出願を優先審査の対象とする
・優先審査の申込期限:2021年7月30日
(5月27日更新)
ペルー
ロックダウン:6月30日まで延長
3月16日から6月10日までの全ての法的期限は延長されるが、詳細は未定
特許庁は6月1日より業務再開予定
(6月1日更新)
ウルグアイ
通常営業、電子出願の受付 期間及び期日の延長又は延期なし
(4月15日更新)
キューバ
・特許出願以外業務停止
・全ての法的手続きの期間は延長
(4月22日更新)
【豪州】
オーストラリア
・これまでCOVID-19パンデミックに起因して、期限内に応答等できない場合、費用・証拠の提出なしに、申請書のチェック欄をチェックするだけで一律最長3ヶ月の延長が認めてきた。
・2021年4月1日からは、期限内に応答できない理由を宣誓書にて説明する必要がある。
延長が認められるか否かは案件毎に判断される
(2021年4月1日更新)
【アジア】
インドネシア
ジャカルタの一部がロックダウン
IP出願手続きは、オンラインでサービスが続けられる
(9月14日更新)
フィリピン
5月25日より、特許庁業務一部再開
・文書の提出、応答期限、及び各種手続きの支払いを含めた期日延長
当初期限が3月16日~4月30日の案件は、6月30日まで延長される
当初期限が5月1日~6月30日の案件は、7月30日まで延長される
(5月19日更新)
インド
延長期限について最高裁の決定
1.2020年3月15日~2021年3月14日の期間は期限のカウントに入れない。
2020年3月15日時点で期日まで残余日数があった場合は、
2021年3月15日からカウントを再開する。
2.2020年3月15日~2021年3月14日の期間に期日が到来した案件については、
2021年3月15日から90日間、又は
2021年3月15日からカウントを再開した期日(90日間よりも長い場合)
の遅い方を採用する。
(2021年3月12日更新)
シンガポール
応答期限再延長: 6月5日まで(自動延長)
(応答期限が4月7日~6月4日に到来する案件に対するもの)
・優先権主張の最終日が4月7日~6月4日に到来する案件は、
窓口受付で提出(manual filing)する場合、6月5日まで延長される
(5月1日更新)