【ベトナム】ベトナム知的財産法改正-2026年4月1日施行予定

2026年01月NEW

2025年12月10日、ベトナム国会は改正知的財産法案を可決しました。本改正法は、2026年4月1日に施行される予定です。以下では、実務上特に重要と考えられる主な改正点をご紹介します。

1.知的財産権の資産化
新設された第8a条により、知的財産権が評価可能な資産であることが明文化されました。知的財産権の所有者は、法令に従い、民事、商業、投資その他の経済活動において当該権利を利用することが可能となります。
また、国家は、知的財産権を資本出資や融資の担保として活用することを奨励しており、今後、知的財産の商業化が一層促進されることが期待されます。

2.人工知能(AI)
改正法では、初めてAIに関する知的財産の取扱いが明記されました。第96条第1項(d)において、発明者は人間でなければならないことが明確にされています。

また、第7条第5項では、権利者の正当な権利および利益を不当に害しない限り、適法に公開された知的財産データを、研究やAIの学習目的で利用することができると規定されています。
もっとも、AIの学習過程ではデータの複製および保存が不可避であることから、権利者の同意なく当該データを利用した場合、著作権侵害に該当するおそれがあります。さらに、「権利者の正当な権利および利益を不当に害しない」という要件は抽象的であり、実務上その判断は容易ではありません。その結果、AI学習におけるデータ利用が、結果的に権利者の利益を侵害するリスクも残されています。

この点について、AIを利用して創作された知的財産の権利発生および権利行使に関する具体的なルールを政府が定めることを予定しており、今後制定される政令および通達の内容が、実務上極めて重要となります。

3. 審査の迅速化
改正法により、知的財産権の審査期間が大幅に短縮されます。
特に、発明(特許)の実体審査期間は、従来の18か月から12か月へ短縮される予定です。さらに、一定の条件を満たす場合には、迅速審査制度により3か月での審査も可能となります。
これにより、特許出願に係る審査プロセス全体の効率化が進むことが期待されます。

4. 発明に関する特則(安全保障)
改正法では、従来のすべての国内発明に対して一律に課されていた第一国出願義務は廃止されました。
これに代わり、国家防衛または安全に関わる技術分野の発明に限り、権利者がベトナム国民またはベトナム法人である場合には、海外で特許を出願する前に、国内で出願を行い、安全管理の審査を受けることが求められます。

すなわち、本改正により、第一国出願に関する規制は安全保障上の観点から管理が必要な発明に限定されることとなり、一般的な出願義務ではなくなりました。
具体的な承認手続きや国防省・公安省の関与方法については、今後制定される政令および通達により明確化される予定です。