【欧州】UPC控訴裁判所、初のCJEUへの付託―域外企業への管轄拡張が焦点に

2026年04月NEW

欧州統一特許裁判所(UPC)の控訴裁判所は、いわゆる「ロングアーム管轄(long-arm jurisdiction)」に関する重要な論点について、欧州連合司法裁判所(CJEU)へ初めての付託を行いました。
本件は、UPCの管轄権の射程、すなわち非EU企業やUPC非加盟国に関連する紛争に対してどこまで関与し得るのかを明らかにするものとして、大きな注目を集めています。

背景
本件は、Dyson社が、香港所在のメーカーを含むDreameグループ各社に対し、特許侵害を理由としてUPCに仮差止めを申し立てたことに端を発しています。
Dreameグループは、香港所在のメーカーを中心に、EU域内の代理人や関連会社を通じて製品を流通させるとともに、EU全域においてオンライン販売も行っていました。

主な争点
本件の核心は、EU域外に所在する企業に対して、EU内の拠点を手がかりとしてUPCの管轄権を及ぼすことができるかという点にあります。
すなわち、香港に所在する企業であっても、ドイツなどEU域内の代理人や関連会社を通じて製品が流通している場合に、当該企業に対してUPCで訴訟を提起できるかが問われています。
また、UPC非加盟国(スペイン)における侵害行為についても、UPCが判断や差止命令の対象とすることができるかが争点となっています。

CJEUへの付託事項
UPC控訴裁判所は、主に以下の点についてCJEUの判断を求めています。

・EU域内の被告(アンカー被告)の存在をもって、非EU企業を同一訴訟に取り込むことができるか
・非EU企業による侵害行為について、UPCが直接管轄権を行使できるか
・UPC非加盟国における侵害についても、UPCが侵害の有無の判断・差止めを行うことができるか
・主として規制対応のために設置されたEU域内の代理人が、特許権侵害に関する差止めの対象となる「媒介者」に該当し得るか

まとめ
CJEUの判断次第では、EU域内の拠点を手がかりとして域外企業に対する訴訟が広く認められる可能性があり、欧州における特許訴訟実務に大きな影響を及ぼすことが見込まれます。今後の動向を注視する必要があります。