【中国】中国最高人民法院が懲罰的賠償について新たな司法解釈を公表

2026年04月NEW

2026年4月20日に最高人民法院により、「最高人民法院による知的財産権侵害の民事紛争事件の審理における懲罰的賠償の適用に関する解釈」(法釈〔2026〕7号)(以下「新司法解釈」という)が公表され、2026年5月1日より施行されることになりました。なお、新司法解釈の施行に伴い、対応する旧司法解釈である法釈〔2021〕4号は廃止されます。

新司法解釈は、知的財産権の重大な侵害行為を法により厳しく懲罰するとともに、知的財産権の司法実務における懲罰的賠償の適用に関する重要かつ難解な課題について、法律の適用基準をより具体化するものです。これにより、懲罰的賠償の司法上の適用をより円滑にし、裁判基準の統一を図るとともに、当事者に対して明確な訴訟指針を提供し、市場に対しても明確な行動規範を示し、制度運用の実効性を確保することを目的としています。

新司法解釈の主な変更点は以下の通りです。

(1)「故意」および「情状が重い」と認定される場合が具体化されました。例えば、「原告と和解しかつ侵害の停止に同意した後、再度同じ又は類似の侵害行為を行った場合」(法釈〔2026〕7号第6条第2項第(六)号)のように被告に知的財産権侵害の故意があると認定できる具体例が追加されました。また、「知的財産権の侵害を業とする」場合の内容がより明確化され、知的財産権の重大な侵害行為の認定規則が法により具体化されています。

(2) 賠償額算定の基数の計算方法がより明確化されました。「被告の違法所得又は侵害により得られた利益を懲罰的賠償の計算の基数とする場合は、営業利益を参照して算定することができる。被告が知的財産権の侵害を業とする場合は、販売利益を参照して算定することができる。利益率が算定できない場合は、統計部門、業界団体等が公表する同期間、同業種の平均利益率、又は権利者の利益率を参照して算定することができる」(法釈〔2026〕7号第9条)ことを明確にし、「法定賠償額は懲罰的賠償の計算の基数とすることはできない」(法釈〔2026〕7号第8条第3項)ことが明確化されました。

(3)倍数の決定方法が改善されました。「過失と懲罰は相当の原則」により、「同一の侵害行為により、すでに過料、又は罰金が科されかつ執行が完了した場合、人民法院は懲罰的賠償の倍数を決定する際に考慮しなければならない」(法釈〔2026〕7号第13条)とし、当事者の請求を前提としないことが明確化されました。

法釈〔2026〕7号の日本語翻訳文

なお、法釈〔2026〕7号の施行に伴い、2026年5月1日に発行される書籍『中国知的財産関連法令集』の中の第57番の法釈〔2021〕4号は差替えることといたします。

詳細は最高人民法院の公式サイトをご参照ください。
https://ipc.court.gov.cn/zh-cn/news/view-5627.html