【米国】USPTO、AIAレビュー開始裁量に関する先例決定を公表
2026年06月NEW
米国特許商標庁(USPTO)は、2026年5月14日、PTAB(特許審判部)におけるAIAレビュー(米国発明法〔AIA〕に基づく特許庁内の無効審判手続であり、IPR〔Inter Partes Review:当事者系レビュー〕やPGR〔Post-Grant Review:登録後レビュー〕などを含む)の開始裁量に関する先例決定(precedential decision)を公表しました。
先例とされた事件は「Magnolia Medical Technologies, Inc. v. Kurin, Inc.」であり、USPTO長官による審理開始裁量の考え方を示す重要な判断として注目されています。
本決定において、AIAレビュー制度は本来、連邦地裁訴訟を代替するために設けられた制度であり、同一特許について重複的に無効主張を行う場として利用されるべきではないことが改めて強調されました。特に、既に連邦地裁訴訟で特許有効性に関する判断が行われている場合や、連邦地裁訴訟と実質的に重複する争点が存在する場合には、PTABによる審理開始が裁量的に拒否され得ることが示されています。
また、本決定では、USPTO長官がAIAレビュー開始に関して広範な裁量権を有することに加え、その裁量は「特許制度全体の健全性」、「審理資源の効率的活用」、「重複訴訟の回避」といった公益的観点に基づいて行使されるべきであることも明示されています。
近年、USPTOではAIAレビューの開始判断に関する運用見直しが続いており、並行訴訟の存在等を考慮した裁量的拒否の傾向が強まっています。今回の先例決定は、こうした運用方針を制度的に整理・明文化するものと考えられ、今後のIPRやPGRの戦略に大きな影響を与える可能性があります。
詳細につきましてはUSPTOの以下URLをご参照ください。
https://content.govdelivery.com/accounts/USPTO/bulletins/4175962
Magnolia Medical Technologies, Inc. v. Kurin, Inc.事件判決文全文は以下URLから入手できます。
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/IPR2026-00097_Director_Discretionary_Decision.pdf

