【韓国】特許審査基準改訂-2021年12月30日施行

2022年04月

2021年12月30日に、韓国の特許審査基準が改訂されました。主な内容は以下の通りです。

1.発明の説明に記載された効果に対する審査基準の強化
発明の説明に記載された発明の効果に、合理的な疑いがある場合、審査官は効果の立証を要求する拒絶理由を通知し、効果が立証されない場合は、拒絶決定とすることができる。

2. 選択発明の進歩性判断関連の判例 [2019フ10609] を反映
引用発明に、請求項発明の上位概念が記載されている場合でも、構成の困難性が認められる限り進歩性は否定されない。
請求項発明の上位概念が引用発明により公知になっているという理由だけで、構成の困難性を検討せず、効果の顕著性の有無のみにより進歩性を判断してはならない。

3.職権補正関連
審査官が職権補正で新規事項を追加した場合や、明らかに誤りではない事項を職権で補正した場合は、特許無効審判や特許侵害訴訟の場面で特許発明の保護範囲を定める際、その職権補正は最初からなかったものと見なす。

4.情報提供
従来、情報提供があっても、出願人にはその通知はされなかった。改訂審査基準では、情報提供があった場合、情報提出書が移送された日から1ヶ月以内に、審査官が出願人に情報提供があった旨の通知をすることとなった。

5.審査官変更の強化
従来、2回以上特許拒絶決定が取り消されて、審査官に差し戻された出願については、担当審査官を他の審査官に変更できることが裁量事項として規定されていた。
改訂審査基準では、2回以上特許拒絶決定が取り消されて審査官に差し戻された出願については、「特別な事由がない限り」拒絶決定をした審査官ではなく、他の審査官に担当審査官を変更することとなった。

6.条約優先権主張出願における出願人の同一性判断基準の明確化
原則として、条約優先権主張の基礎となる出願(先の出願)の出願人と条約優先権主張出願(後の出願)の出願人は、後の出願の出願時に同一でなければならない。
つまり、共同出願である場合は、後の出願人全員が先の出願人と完全に一致しなければならない。
しかし、先の出願の出願人全員が後の出願の出願人に含まれる場合は、共同出願人の間に権利承継に関する別途の契約があることを十分に予想できるため、追加された後の出願の出願人に対しては、優先権譲渡についての、別途の書類は要求されない。
一方で、先の出願の出願人の一部が後の出願の出願人から除外されている場合には、除外された先の出願の出願人と後の出願の出願人との間の権利承継について確認する必要があるため、補正命令により関連書類の提出を要求することができる。