【中国】最高人民法院知的財産権法廷の2021年度年次報告

2022年08月

最高人民法院知的財産権法廷(以下、「IP裁判所」という。)が、2021年の年次報告を公表しました。

1. 受理・審理件数等
2021年度、IP裁判所は5,238件(うち、4,335件は新規訴訟)の技術関連知的財産権および独占禁止に関する訴訟を受理し、3,460件の審理を終結しました。
対前年比で、新規受理件数は1,158件(36.4%)増加し、審理終結件数は673件(24.1%)増加しました。

審理終結に至った3,460件についてみてみますと、裁判官1人あたりの平均処理件数は、83.5件(対前年比1.2%増)、平均審理期間は134日でした。
現地代理人の情報によりますと、訴訟における対立が激化し、困難な事件が増加したため、前年に比べて平均審理期間は長期化したようです。

2. 訴訟の種類
新たに受理された2,569件の民事第二審の主な内訳は以下の通りです。
・特許権侵害訴訟 576件
・実用新案権侵害訴訟 806件
・コンピュータ・ソフトウェア関連訴訟 593件
・特許を受ける権利・特許権の帰属関係訴訟 213件

前年と比較し、特許権侵害訴訟、コンピュータ・ソフトウェア関連訴訟、権利帰属に関する訴訟の件数が大幅に増加しました。

新たに受理された1,290件の行政第二審の主な内訳は以下の通りです。
・特許出願拒絶査定不服審判の審決に対する訴え 457件
・実用新案登録出願拒絶査定不服審判の審決に対する訴え 36件
・特許無効審判の審決に対する訴え 283件
・実用新案無効審判の審決に対する訴え 234件

前年と比較し、行政第二審の受理件数はすべての分類において増加しましたが、特に特許出願拒絶査定不服審判及び特許無効審判の審決に関する訴訟の件数が大幅に増加しました。

3. 審理結果
審理が終結した3,460件の民事・行政訴訟のうち、原審維持判決は2,272件(65.7%)、訴訟取下げによる終結は509件(14.7%)、調停による和解は198件(5.7%)、差戻・原審変更等の判決は468件(13.5%)でした。

4. 外国関連の事件
2021年に、IP裁判所が受理した外国関連訴訟は432件(うち、香港・マカオ・台湾関連の訴訟は55件)であり、受理件数全体の約10%を占め、対前年比16%増となりました。