【カナダ】特許規則改正‐2022年10月3日施行予定

2022年06月

カナダの特許規則改正につき、2021年7月3日に改正案が公表されて以来、施行日及び正式な内容の確定が待たれていました。
詳細につきましては弊所知財トピックス2022年4月掲載分をご参照ください。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/11636/

今般、その施行日及び正式な内容が公表されました。

1. 施行日
配列表の形式に関する事項(WIPO標準ST.26に準拠)については、2022年7月1日に施行されました。その他の事項、例えば、超過クレーム料金の導入やRCE制度の導入等につきましては2022年10月3日に施行されます。

2. 内容
1) 超過クレーム料金
超過クレーム料金につきまして、改正案と最終決定された改正規則では以下の点が異なっております。
改正案では、審査請求時にクレーム数が20を超えた場合、20を超えたクレーム毎に、100 C$(カナダドル)の支払いが必要となり、審査請求後、補正によりクレーム数が増えた場合は、登録時の最終手数料(Final Fee)支払時に、Notice of Allowance発行時のクレーム数を規準として、未払い分の超過クレーム料金の支払いが求められるとされていました。
一方で、最終決定された改正規則では、超過クレーム料金は審査請求からNotice of Allowance発行時までの最大クレーム数を規準として請求されます。

例えば、審査請求時のクレーム数が25であったものが、審査段階で一旦32となり、Notice of Allowance発行時に30であった場合の超過クレーム料金及び支払いのタイミングは以下の通りです。

  クレーム数 超過クレーム料金支払いの要否と金額
審査請求時 25 支払い要:(25-20)x 100 C$=500 C$
最初の審査報告書受領後の補正時 32 支払い不要
2回目の審査報告書受領後の補正時 30 支払い不要
Notice of Allowance発行時 30 支払い不要
最終手数料支払時 30 支払い要:(32-25)x 100 C$=700 C$

上記の通り、超過クレーム料金の合計金額は、審査係属中で最も多いクレーム数である32から20を差し引いた12に100 C$を掛けた、1,200 C$となります。
尚、マルチクレームは1クレームとカウントされ、マルチクレームの追加料金はありません。

但し、2022年9月30日までに審査請求された出願については、超過クレーム料金の適用はありません。

2) RCE制度の導入
改正案に示されていた通り、3度目の審査報告書受領後、審査の続行を希望する場合は、その応答時に、手数料(816 C$)を支払い、RCE(Request for Continued Examination:継続審査請求)をすることができます。

但し、2022年9月30日までに審査請求された出願については、RCEは利用できません。

3) 条件付許可通知書(Conditional Notice of Allowance:CNOA)の導入
軽微な形式的瑕疵を解消すれば特許できる場合には、CNOAが発行されます。CNOAへの応答の際に、指摘された瑕疵を解消する補正書等を提出し、最終手数料を支払うと、許可に進みます。