【ベトナム】特許法改正-2023年1月1日施行予定

2022年11月

2022年6月16日、ベトナム知的財産法改正法案が国会を通過し、一部を除き*2023年1月1日に施行されることになりました。
*農薬の試験データ保護に関する条項については、2024年1月14日に施行される予定です。

2023年1月1日施行予定の主な改正点は次の通りです。

1. 拡大先願の導入
現行法では、先願が公開されていない場合、同一の発明に係る後願には、新規性欠如の拒絶理由は適用されません。
今回の改正により、知財法第60条(新規性)に第60条1項(b)が新設され、先の出願が公開されていなくとも、未公開の先願を引例として、新規性欠如の拒絶理由を適用することが可能となりました(日本の特許法第29条の2に相当)。
但し、先の出願と後の出願の出願人が同一の場合でも、本条の適用があるか等、詳細は不明です。おそらく、施行日以降に詳細なガイダンスが公表されるものと思われます。

2. 情報提供及び付与前異議申立
現行法では、出願公開日から特許付与の決定の日までの期間、何人も当該出願に対して「意見を提示する」ことができると規定されています(知財法第112条)。
今回の改正では、「意見を提示する」手段について、第三者情報提供と付与前異議申立の2つの手続きが明確に規定されました。
第三者情報提供は、特許付与の決定の日まで無料ですることができますが、審査の際に参考情報とされるのみで、特許庁からの応答はありません。
一方で、付与前異議申立は、出願公開日から9ヶ月以内かつ特許付与の決定の日までに申立てる必要があり、手数料もかかります。そして、付与前異議申立がなされると、特許庁は申立番号を発行し、独立した手続きとして申立人及び申立理由に対応します。審理の流れ等は、無効審判等と同様となる見込みです。

3. 無効理由の追加
現行法では、発明の開示が十分でない場合や不適法な補正がなされた特許を無効にできる規定がないため、無効化の手続きが長引くという問題が生じていました。
そこで、今回の改正により、以下を含むいくつかの無効理由が追加されました。
・当業者が実施できる程度に明確かつ十分に発明が開示されていない場合。
・出願当初の明細書等の範囲を超えた、又は、発明の内容を変更する補正がなされた場合。