【インド】分割出願要件を緩和するデリー高裁の判決

2023年12月

2023年10月13日、デリー高等裁判所のDivision Bench(2名の裁判官で構成される第二審)は、Syngenta Limited v. Controller of Patents and Designs [C.A.(COMM.IPD-PAT) 471/2022](以下Syngenta事件)において、「複数の発明」が出願当初の明細書(仮明細書または完全明細書)に開示されている限り、出願人は、自発的に分割出願が可能であると判示しました。

1. 背景
2022年、デリー高等裁判所は、Boehringer Ingelheim International GMBH v. The Controller of Patents [2022 SCC OnLine Del 3777](以下Boehringer事件)において、分割出願に係る発明は親出願の特許請求の範囲に包含されていなければならないと判示しました。
この判決に疑問を呈したSyngenta事件の裁判官(Single Bench:1名の裁判官で構成される第一審)は、Division Benchに分割出願の要件について質問を付託しました。

2.Syngenta事件の判決
Syngenta事件において、デリー高等裁判所のDivision Benchは、Boehringer事件で示された分割出願要件の解釈を覆し、以下の点を明確に示しました。
1)単一性違反の拒絶理由は分割出願の要件ではなく、出願当初の明細書に複数の発明が包含されている限り、出願人は自発的に分割出願をすることができる。
2)出願当初の明細書(仮明細書または完全明細書)全体によってサポートされている限り、分割出願に係る発明は親出願の特許請求の範囲に包含された発明に限定されない。

この判決を受け、今後、インドで柔軟な分割出願が認められることが期待されます。