【米国】USTR、2025年版スペシャル301条報告書を公表

2025年06月NEW

米国通商代表部(USTR)は、2025年4月29日、知的財産権の保護・執行に関する各国の状況をまとめた2025年版スペシャル301条報告書を公表しました。
この報告書は、1974年米国通商法182条に基づき、知財保護が不十分な国や、公正かつ公平な市場アクセスを認めない国を特定し、懸念が大きい順に「優先国」「優先監視国」「監視国」に指定しています。「優先国」に指定した場合、USTRは所定の調査を開始し、その結果によっては、追加関税などの対抗措置を講じる可能性があります。

2025年版の報告書では、「優先国」の指定はなく、下記の通り、8ヶ国が「優先監視国」、18ヶ国が「監視国」として指定されました。

優先監視国
アルゼンチン、チリ、中国、インド、インドネシア、メキシコ、ロシア、ベネズエラ

監視国
アルジェリア、バルバドス、ベラルーシ、ボリビア、ブラジル、ブルガリア、カナダ、コロンビア、エクアドル、エジプト、グアテマラ、パキスタン、パラグアイ、ペルー、タイ、トリニダード・トバゴ、トルコ、ベトナム

2024年版の報告書で「監視国」に指定されていたメキシコが、「優先監視国」に引き上げられました。その理由として、メキシコは米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を遵守しておらず、商標の偽造や著作権侵害に対する取締り、医薬品関連の知的財産の保護が十分でないことが挙げられています。

2024年版の報告書で「監視国」のリストに挙げられていたトルクメニスタンはリストから除外されました。

日本は、「監視国」等のリストには含まれていませんが、薬価制度の不透明性などの問題点が指摘されています。

また、USTRは中国について、技術移転、営業秘密、オンライン海賊版、著作権法、特許および関連政策等の長年の問題を懸念点として挙げています。

2025年版スペシャル301条報告書の全文は以下URLから入手できます。
https://ustr.gov/sites/default/files/files/Issue_Areas/Enforcement/2025%20Special%20301%20Report%20(final).pdf