【ブラジル】ブラジル連邦控訴裁判所、補正に関する画期的な判決
2025年08月NEW
リオデジャネイロの第2巡回区連邦控訴裁判所(TRF2)は、治療方法のクレームをスイス・タイプ・クレーム*に補正することは保護範囲の拡張に当たらないとした下級裁判所の判決を支持しました。
*スイス・タイプ・クレームとは、疾病Yの治療薬の製造における化合物Xの使用(use of compound X in the manufacture of a medicament for the treatment of disease Y) のような形式で記載されたクレームのことを言います。
本件において、原告が治療方法のクレームをスイス・タイプ・クレームに補正して分割出願したところ、ブラジル産業財産庁 (INPI) が却下しました。その理由としてINPIは、この補正は親出願の範囲を超えてするものであり、特許法第32条に反するとしています。
従来より、INPIは、審査請求後に治療方法のクレームをスイス・タイプ・クレームに補正することを認めておらず、特許法第32条により拒絶してきました。
これを不服とした出願人は、INPIの決定に異議を唱え、出訴しました。
訴訟の過程で、裁判所が任命した専門家は、本件分割出願は親出願の保護範囲を超えておらず、スイス・タイプ・クレームへの補正は、保護範囲を拡張するどころか、実際には減縮していることを確認しました。専門家の結論に基づいて、第一審裁判所は原告勝訴の判決を下しました。
これに対し、INPIは控訴しましたが、TRF2は第一審の判決を支持し、スイス・タイプ・クレームへの補正は法的要件に違反しておらず、分割出願が適法になされたことを確認しました。
INPIが控訴する可能性もありますが、この判決はブラジルのプラクティスをより国際基準に近づけるもので、製薬企業等にとって、朗報となりそうです。