【米国】USPTO、AI支援発明に関する発明者ガイダンスを改訂

2025年12月NEW

米国特許商標庁(USPTO)は2025年11月26日、AI支援発明に関する既存(2024年2月)のガイダンスを全面撤回し、新たなガイダンスを公表しました。

1.新ガイダンスの要点                                   新ガイダンスでは、AIが発明過程で使用されたとしても「発明者として認められるのは自然人のみである」という従来からの法的基準は一切変更されていないことを明確に示しています。
したがって、生成AIや他の計算モデルなどのAIシステムを発明者または共同発明者として記載することはできません。AIは、研究用機器やソフトウェアと同様、発明者が使用するツールの一つに過ぎない と位置付けられています。

発明の本質は人間の着想(conception)
新ガイダンスは、最高裁判例Pfaff v. Wells Electronics, Inc.(1998)で示されたように、発明とは常に人間の着想に基づく行為であることを改めて確認しました。

2.旧ガイダンス(2024年2月)からの主な変更点
旧ガイダンスでは、AI支援発明において、自然人が発明者と認められるには、Pannu v. Iolab Corp.で示されたPannu要因を使って「その自然人がクレームされた発明について“significant contribution (重要な寄与)”をしたか」を分析すべき、という指針が示されていました。
Pannu要因とは、複数の自然人が関与した発明において共同発明者として適格かどうかを判断するために、米連邦巡回控訴裁判所(CAFC)が示した3つの基準です。すなわち、①発明の着想または実施化に対する重要な貢献、②発明全体と比べて、質的に無視できない貢献、③既知の概念や技術の現状の単なる説明を超える貢献が認められる場合、共同発明者として適格です。

新ガイダンスでは、Pannu要因はもともと複数の自然人(共同発明者)を判断するためのものであり、AIのような非自然人を共同発明者として評価する枠組みとしては適切ではないとされています。

新ガイダンスの全文はUSPTOの以下URLから入手できます。
https://www.federalregister.gov/documents/2025/11/28/2025-21457/revised-inventorship-guidance-for-ai-assisted-inventions