【中国】 「最高人民法院による著作権の民事紛争事件の審理における法律の適用に関する若干問題の解釈」(法釈〔2026〕18号)が公表され、2026年9月1日より施行へ

2026年08月NEW

2026年8月20日、最高人民法院が「最高人民法院による著作権の民事紛争事件の審理における法律の適用に関する若干問題の解釈」(法釈〔2026〕18号)を公表しました。今回公表された法釈〔2026〕18号は、法釈〔2002〕31号に対する2回目の改訂になります。なお、法釈〔2002〕31号に対しては、法釈〔2020〕19号十により1回目の改訂が行われています。

今回の改訂は、2020年改正の「中華人民共和国著作権法」に対応し、人民法院の知的財産裁判の職能を十分に発揮させるとともに、著作権及び著作隣接権の保護を強化しつつ、権利保護と社会公共利益との適切なバランスを図ることを目的としています。改訂後の司法解釈では、著作権紛争をめぐる判断基準がより細分化され、司法判断の統一が図られています。

なお、法釈〔2026〕18号は、2026年5月1日に発行された書籍『中国知的財産関連法令集』の中の㉞法釈〔2020〕19号十である「㉞最高人民法院による著作権の民事紛争事件の審理における法律の適用に関する若干問題の解釈」を改訂したものであり、その施行日の2026年9月1日から法釈〔2026〕18号に差し替えます。

1.「公衆に公表する」の認定基準の明確化

「公衆に公表する」という文言について、改訂前は「著作物を著作者自ら又は著作権者の許可を経て不特定の人に公表することをいう」と定義されていましたが、今回の改訂により、「著作者自ら又は著作権者の許可を経て」との限定が削除され、「著作物を不特定の人に公表することをいう」(第8条)と改められました。その結果、著作物が他人の侵害行為により公表された場合であっても、「公衆に公表する」に該当し得ることとなります。

2.合理的な利用の適用ルールの細分化

2020年改正著作権法第24条第1項第(十)号に対応して、改訂前の「屋外の公共の場に設置され又は陳列されている芸術著作物」から、「屋外の」を削除しました(第16条第1項)。また、改訂後の第16条第2項にはただし書きが追加されました。すなわち、「前項に規定する芸術著作物の模写、絵画、撮影、録画をする者は、その成果物を合理的な態様と範囲で法により再度利用することができる。ただし、著作権者の許諾を得なければ、同じ態様で設置し、陳列し、又は公に伝播してはならない」に改められ、合理的な利用の適用ルールが細分化されました。
改訂後の第16条第1項は「屋外の」が削除されたことにより、公共の場に設置され又は陳列されている芸術著作物の範囲が広がり、公共又は商業的な美術館、展示館等も含まれることとなりました。他方で、合理的な利用の方法および範囲について一定の制限を設ける必要も生じます。合理的な利用の余地を確保すると同時に、著作権者による著作物の展示意欲を損なうことを避ける必要もあるからです。

3.新聞・雑誌転載の法定許諾の適用範囲の明確化

著作権法第35条第2項の法定許諾に関連して、改訂により、新聞・雑誌の範囲は、「新聞、雑誌主管部門の承認を得て出版する紙媒体の新聞、雑誌並びにそれらと内容及び版面のレイアウトの一致するデジタル版」に限定することが明確化されました(第17条第1項)。新聞・雑誌業界では、紙媒体だけでなくネット・デジタル媒体へと事業形態が拡大され、新聞・雑誌の版面を原始のレイアウトのまま情報ネットワーク上で伝播することは、紙媒体転載の合理的な延長とみなして、被疑侵害者は著作権法第35条第2項の法定許諾を根拠として抗弁し得ることになります。

そして、第17条に第2項が追加され、新聞・雑誌とインターネット情報サービス提供者との間の相互転載、及びインターネット情報サービス提供者同士の相互転載については、第17条第1項の規定が適用されないことが明確化されました。これらの場合には、著作権者の許諾が必要であり、かつ報酬の支払いも必要となります。

このほか、民法典、2020年改正著作権法及び関連する司法解釈に整合を図るため、一部の条項に適応的な改訂が行われました。