【欧州】 欧州特許庁(EPO)が審査手数料返還の運用を変更

2016年08月

2016年6月30日付の通知にて、EPOは、手数料に関する規則第11条を改正したと発表しました。これにより、審査手数料返還の運用が以下のように変更されます。

(1)手数料に関する規則第11条(a)の改正

欧州特許出願が、実体審査開始までに取下げられ、却下され、または取下げ擬制される(以下、「取下げ・却下等される」という)場合、審査手数料のうち、これまでの75%ではなく、全額が返還されることになりました。この改正11条(a)は、2016年7月1日以降に取下げ・却下等される欧州特許出願に適用されます。

上記改正による利益を出願人が確実に得られるようにするために、実体審査の開始時期が、審査開始予告通知(Form F2919)によって、開始の2ヶ月前までに出願人に通知されることになります。Form F2919に応答する必要はなく、これに記載された日より早く審査が開始することはありません。EPOの運用上の理由から、Form F2919の送付は当面可能な分野・件数に限られます。Form F2919が送付されなかった場合でも、審査開始までに欧州特許出願が取下げ・却下等された場合、審査手数料の全額が返還されます。審査の実際の開始は、EPOホームページ内のEuropean Patent Register(https://www.epo.org/searching-for-patents/legal/register.html#tab1)で確認することができます。

(2)手数料に関する規則第11条(b)の改正

実体審査開始後であっても、一定条件下で、審査手数料の一部返還が可能となりました。

即ち、次の期限までに欧州特許出願を積極的に取下げることにより、審査手数料の50%が返還されます。但し、同期限内であっても、実体審査開始後に欧州特許出願が却下され、または取下げ擬制された場合には返還はなされません。

a)  EPC第94条(3)に基づく、最初の「真正な(proper)」(注)審査部からの通知に対する応答期
     限、あるいは
b)  直接グラントされる場合、即ち、EPC第94条(3)に基づく通知が発行されることなく、EPC規則
     第71条(3)に基づく通知(欧州特許を付与しようとする旨の通知)が発行される場合は、EPC
     規則第71条(3)に基づく通知の発行日の前日
但し、b)の場合、EPC規則第71条(3)に基づく通知の発行日については、予告がされません。

この改正11条(b)は、2016年11月1日以降に実体審査が開始される欧州特許出願に適用されます。

(注)EPCで定められる実体的要件上の不備を治癒する機会を出願人に与えるための通知を指し、これには、補正の根拠の明示義務違反(EPC規則第137条(4))の治癒を要請するもの、面接記録とともに出願の瑕疵の治癒を要請するもの、補充された明細書等の欠落部分に関する通知(EPC規則第56条(3))等が含まれます。一方、形式上、EPC第94条(3)に基づくものであっても、純粋に形式的な不備のみを指摘するものは含まれません。また、審査部の発行するものであっても、他の法的根拠に基づく通知は含まれません(例えば、サーチ料金が支払われている発明についてのみ審査する旨の通知(EPC規則第164条(2)(a))、優先権基礎出願の翻訳文提出指令(EPC規則第53条(3))、先行技術についての情報開示要請(EPC第124条)等)。