【日本】特許庁、特許行政年次報告書2018年版を公表

2018年09月NEW

2018年6月28日、特許庁は、特許行政年次報告書2018年版を公表しました。
*下記URLをクリックして、特許庁ウェブサイトからご覧になれます。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2018_index.htm

この報告書は、知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向と分析について、直近の統計情報、特許庁の取組等を基に取りまとめたものです。 

以下に、注目すべき項目について、報告書の掲載順に説明します。

1.特許出願件数
特許出願件数は、2008年以降漸減傾向で推移していましたが、2015年以降横ばいで推移し、2017年は318,479件で、2016年よりも微増(98件(0.03%)増)しました。(第1部第1章第2頁ご参照)

2.審査の迅速化
2017年度の特許の「権利化までの期間*」(標準審査期間)は平均14.1か月であり、「一次審査通知までの期間」(平均FA期間:審査請求日から一次審査までの平均期間)は9.3か月でした。(第1部第1章第3頁ご参照)
*権利化までの期間(標準審査期間、最終処分期間)は、審査請求日から取下げ・放棄又は最終処分を受けるまでの期間です。

3.特許審査実績
2017年の特許査定件数は183,919件、拒絶査定件数は60,613件、特許登録件数は199,577件でした。2017年の特許査定率*は、74.6%(前年比1.2ポイント減)でした。(第1部第1章第3~4頁ご参照)
*特許査定率=特許査定件数/(特許査定件数+拒絶査定件数+一次審査通知(FA)後の取下げ・放棄件数)

4.特許出願・審査請求・特許登録等
特許出願件数は近年漸減傾向であるものの、審査請求件数はほぼ横ばいを維持しています。特許出願件数に対する特許登録件数の割合(特許登録率)は増加傾向にあることから、出願人が特許出願にあたり厳選を行うことが浸透し、企業等における知的財産戦略において量から質への転換が着実に進んでいることが窺えます。(第1部第1章第4頁ご参照)

5.世界の特許出願件数・特許登録件数・PCT国際出願件数
(1) 2007年に187.4万件であった世界の特許出願件数は、この10年間で1.7倍に増加し、2016年には312.8万件に達しました。2016年の世界の特許出願件数の伸びは、主に、中国人による中国国家知識産権局への特許出願件数の大幅な増加によるものです。(第1部第1章第5頁ご参照)

(2) 世界の特許出願件数の増加に伴い、世界の特許登録件数も増加の傾向にあります。2006年には77.7万件でしたが、この10年間で約1.7倍に増加し、2016年には135.2万件でした。この世界の特許登録件数のうち非居住者による登録も、この10年間で約1.7倍に増加し、2016年には全体の4割弱を占めるに至りました。2016年の日本居住者による特許登録件数のうち、約4割は外国での登録であり、我が国企業の知財活動が国内外に広く行われていることが分かります。(第1部第1章第5頁ご参照)

(3) PCT国際出願件数は、2009年以降増加しており、2017年は242,853件と、前年に引き続き過去最高となり、PCT国際出願制度の利用が依然として活発であることが窺えます。PCT国際出願件数の推移を出願人居住国別に見ると、2017年の日本からの出願件数は、2013年から10.1%増の48,206件と、過去最高を記録しました。この背景には、我が国企業等の活動が一層グローバル化したこと、PCT国際出願のメリットについて認識が高まってきたことなどがあると考えられます。(第1部第1章第6頁ご参照)

6.外国人による日本への特許出願件数と日本での特許登録件数
2017年の外国人による日本への特許出願件数は、前年からほぼ横ばいの58,189件でした。このうち、米国と欧州からの出願が全体の76.5%を占めました。2017年の外国人による日本での特許登録件数は、前年からほぼ横ばいの42,733件でした。このうち、米国と欧州からの出願に基づく登録が全体の77.3%を占めました。(第1部第1章第14~15頁ご参照)

7.審判請求・異議申立の動向と審理動向
(1) 2017年における特許の拒絶査定不服審判の請求件数は、18,591件でした。前置審査の結果を見ると、拒絶査定を取り消して特許査定される件数(前置登録件数)の全体に占める割合は、2010年以降、6割前後で推移しています。2017年における特許の異議申立件数は、1,251件でした。2017年における無効審判の請求件数は、特許が161件、実用新案が4件でした。(第1部第1章第40~41頁ご参照)

(2) 2017年における特許の拒絶査定不服審判の平均審理期間は、12.6か月でした。2017年における特許異議申立ての平均審理期間は、7.2か月でした。2017年における特許・実用新案の無効審判の平均審理期間は、10.6か月でした。(第1部第1章第42頁ご参照)

8.中小企業における特許等の出願件数の状況と中小企業の海外展開の状況
(1) 我が国の中小企業数は、およそ381万社と全企業数の99.7%以上を占めています。しかしながら、2017 年の中小企業における特許出願件数は、39,880件(前年比0.6%増)であり、内国人出願における中小企業の出願件数比率は、15.3%(前年15.2%)でした。2017年の中小企業における実用新案登録出願件数は、2,476件(前年比4.7%減)であり、内国人出願における中小企業の出願件数比率は、54.1%(前年52.7%)でした。(第1部第3章第61~62頁ご参照)

(2) 2017 年の中小企業におけるPCT国際出願件数は、4,252件(前年比8.8%増)であり、内国人出願における中小企業の出願件数比率は、9.0%(前年8.8%)でした。2016 年の中小企業における海外への特許出願件数は、6,180件(前年比7.7%増)であり、2016年の中小企業における海外出願率は15.3%と、大企業における海外出願率34.9%の半分以下でした。(第1部第3章第63頁ご参照)

9.早期審査制度・スーパー早期審査制度
(1) 2017年の早期審査の申請は20,529件であり、利用数は年々増加傾向にあります。早期審査制度を利用した出願の2017年の一次審査通知までの期間は、早期審査の申請から平均2.3か月となっており、同制度を利用しない出願と比べ大幅に短縮されています。(第2部第1章第116頁ご参照)

(2) 「実施関連出願」かつ「外国関連出願」に該当する出願を対象として、通常の早期審査よりも更に早期に審査を行うスーパー早期審査の申請は、2017年において580件でした。スーパー早期審査制度を利用した特許出願の、2017年の一次審査通知までの期間は、スーパー早期審査の申請から平均0.7か月(国際出願後に国内に移行した特許出願については平均1.2か月)でした。(第2部第1章第116頁ご参照)