【シンガポール】シンガポール知的財産庁(Intellectual Property Office of Singapore:IPOS)-英語と中国語の調査ができる補充国際調査機関(SISA)

2018年10月

日本のPCT国際出願人は、一定条件下で、IPOSをSISAとして選択することができます。IPOSの活用方法及びそのメリットについてお知らせします。 

1.補充国際調査について
補充国際調査(Supplementary International Search:SIS)は、2009年1月に開始された制度であり、出願時に選択した国際調査機関(主管庁)による国際調査に加えて、出願人の請求により、主管庁とは別の国際調査機関による補充国際調査報告書(Supplementary International Search Report:SISR)を受け取ることができる制度です。

SISの目的は、複数の国際調査機関から国際調査報告書を得ることによって、国際段階で先行技術文献を極力把握し、国内段階で新たな先行技術文献が発見される可能性を減少させることにあります。

2.補充国際調査(SIS)の請求
SISの請求は、国際調査機関の中で、SISを行うことを表明している機関、つまり補充国際調査機関(SISA)に対して行うことができます。選択するSISAによっては、翻訳文等が必要な場合もありますが、国際出願がどの受理官庁に対してなされたかによって、SISAの選択が限定されることはありません。ただし、制度の趣旨から、SISAとしては、主管庁とは異なる官庁を選択しなければなりません。

現在、SISAとしての資格を有する官庁には、欧州特許庁(EPO)、ロシア連邦知的所有権行政局、スウェーデン特許登録庁等が含まれ、IPOSは世界で9番目のSISAです。SISAの最新一覧は、以下のWIPOのサイトでご確認いただけます。
http://www.wipo.int/pct/en/appguide/index.jsp

SISの請求は、優先日から22月までにWIPO国際事務局に対して直接行います。優先日から28月以内にSISRが作成され、出願人に送付されます。SISRの様式は国際調査(主調査)とほぼ同様です。ただし、SISAによる見解書は作成されません。

3.日本の出願人の選択肢
日本特許庁(JPO)を受理官庁としてPCT国際出願する日本の出願人は、国際出願の言語が英語の場合、国際調査機関(ISA)及び国際予備審査機関(IPEA)としてEPO、IPOS又はJPOを選択することができます。

仮にEPO又はJPOをISA/IPEAとして選択した場合、SISAとしてIPOSを選択することができます。IPOSは英語と中国語両方の文献調査ができる世界で唯一のSISAですので、最近増加傾向にある中国語文献の調査に役立つことが期待されます。