【米国】米国特許商標庁 (USPTO)、 改訂審査ガイダンスを公表-特許適格性の判断基準を明確化

2019年03月

2019年1月7日、USPTOは、米国特許法101条に基づき特許適格性を審査する際の新たな審査ガイダンス (2019 Revised Patent Subject Matter Eligibility Guidance:以下、「改訂ガイダンス」)を公表しました。今回の改訂は、特許適格性の判断基準を明確にすることにより、USPTO内部の判断の統一化をはかることを目的としています。また、米国特許法112条の審査に関するガイダンスも公表されました。これらのガイダンスは2019年1月7日以前に出願された案件を含め、すべての特許出願及び権利化されたすべての特許に適用されます。

1.改訂ガイダンスの概要

改訂ガイダンスの主な変更点は以下の2点です。

(1)抽象的概念(Abstract idea)が以下の3グループに限定されました。

(a)数学的概念 – 数学的関係、数式または方程式、数学的計算
(b)人間の活動を組織化する特定の方法 – 基本的な経済原則または慣行、商業的または法的相互作用、個人的な行動、人間同士の関係や相互作用の管理
(c)精神的プロセス – 人間の心の中で行われる概念 (観察、評価、判断等)

上記の3グループに属さない主題について、抽象的概念であるとして拒絶するためには、Technology Center Directorの承認が必要です。つまり、USPTOの審査官は、上記に列挙された主題以外について、抽象的概念であるとの拒絶理由を個人の判断で通知する事はできません。

(2)クレームが判例上の例外 (例えば、抽象的概念) に言及(recite)していても、抽象的概念自体に向けられたもの(directed to)ではなく、抽象的概念を実用上の応用(practical application)に統合するような他の構成要素を含んでいれば、特許適格性があると判断されます。

上記変更点を加味した特許適格性判断のための審査フロー(Alice/Mayoテスト)を図示しますと以下のとおりです。つまり、改訂前の審査フローのうち、ステップ2AがProng1とProng2の2段階に別れることが明記されました。

図:改訂審査フロー

190318topics



出典:2019年1月10日に、USPTOで開催されたウェビナー(Patent Quality Chat)2019 Revised Subject Matter Eligibility Guidanceのスライドより改変

スライド全文は以下のURLからご覧いただけます。
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/Quality_Chat_1_10_2019.pdf

改訂ガイダンスについての詳細は、以下のURLからUSPTOの官報(Federal Register)をご覧下さい。
https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2019-01-07/pdf/2018-28282.pdf

また、USPTOは、改訂ガイダンスに従った、クレーム分析の仮想事例を公表しています。仮想事例37-42は以下のURLからご覧いただけます。https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/101_examples_37to42_20190107.pdf