【韓国】韓国大法院、存続期間延長後の医薬品特許侵害訴訟において、特許権者に有利な判決

2019年07月NEW

存続期間が延長された医薬品の特許権の効力が、有効成分は同じだが、薬学的に許容可能な「塩」のみが異なる医薬品(塩変更医薬品)にも及ぶのか否かが争点となっていた事件について、韓国大法院は、2019年1月17日、延長された特許権の効力は塩変更医薬品には及ばないとした原審の判決を破棄し、事件を特許法院に差し戻しました。

事件の概略:
原告の特許は、過活動膀胱治療剤「ベシケア錠(成分名:ソリフェナシンコハク酸塩)」に関するものであり、薬事法に定める承認を受けるのに要した期間について、延長登録が認められていました。
この延長された存続期間中に、被告は、原告特許製品のコハク酸塩をフマル酸塩に置き換えた、塩変更医薬品「エイケア錠(成分名:ソリフェナシンフマル酸塩)」を販売しました。
当該被告の販売行為が、原告の特許権を侵害するとして、訴えが提起されましたが、原告が敗訴していました。

特許法院(原審)の解釈:
旧韓国特許法第95条は、「延長された特許権の効力は、延長登録の理由となった許可等の対象物に関するその特許発明の実施行為にのみ及ぶ」と定めています。
そのため、原審では、塩変更医薬品の実施は、薬事法に従って許可を受けた医薬品と異なるため、特許権の効力が及ばないと判示されました。

大法院の判断:
存続期間延長後の特許権の効力が及ぶ範囲の判断にあたり、大法院は、以下の2つの基準を示しました。
(i) 特許権者が特許発明を実施するために薬事法に従い品目許可を受けた医薬品と特許侵害訴訟において相手方が生産等をした医薬品の間に、薬学的に許容可能な塩等の差異があったとしても、その差異が、当業者が容易になし得る程度であること。
(ii) 人体に吸収される有効成分の薬理作用により得られる治療効果や用途が実質的に同一であること。
大法院は、本件について、上記2つの基準が満たされており、存続期間が延長された特許権の効力は被告の医薬品に及ぶとの判断を示しました。

今後の展望:
現地代理人によりますと、韓国では塩変更医薬品は承認取得および特許回避が容易なため、早期に市場に参入しやすいようです。このため、塩変更医薬品の開発に力を入れてきたジェネリック製薬会社も多く、今回の判決により、これまでの戦略を見直す必要が生じるものと思われます。また、今後、特許侵害訴訟や損害賠償問題が相次ぐことが予想されます。