【日本】特許庁、特許行政年次報告書2019年版を公表

2019年10月NEW

2019年7月12日、特許庁は、特許行政年次報告書2019年版を公表しました。
特許行政年次報告書2019年版の全文は、下記URLをクリックして、同庁ウェブからご覧になれます。
https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2019/index.html

この報告書は、知的財産制度を取り巻く現状と方向性、国内外の動向と分析について、直近の統計情報、特許庁の取組等を基に取りまとめたものです。

以下に、注目すべき項目について、報告書の掲載順に説明します。

1.特許出願件数
特許出願件数は、2009年以降漸減傾向で推移していましたが、2015年以降横ばいで推移し、2018年は313,567件で、2017年よりも減少しました。

2.審査の迅速化
2018年度の特許の「権利化までの期間」(標準審査期間)は平均14.1か月であり、「一次審査通知までの期間」(平均FA期間:審査請求日から一次審査までの平均期間)は9.3か月でした。

権利化までの期間(標準審査期間、最終処分期間)は、審査請求日から取下げ・放棄又は最終処分を受けるまでの期間であり、出願人が補正等をすることに起因して特許庁から再度の応答等を出願人に求めるような場合や、特許庁に応答期間の延長や早期の審査を求める場合等の、出願人に認められている手続を利用した場合は除かれています。

3.特許審査実績
2018年の特許査定件数は177,852件、拒絶査定件数は56,701件、特許登録件数は194,525件でした。2018年の特許査定率は、75.3%(前年比0.7ポイント増)でした。 

特許査定率=特許査定件数 / (特許査定件数+拒絶査定件数+一次審査通知(FA)後取下げ・放棄件数)

4.特許出願・審査請求・特許登録等
特許出願件数は近年漸減傾向であるものの、審査請求件数はほぼ横ばいを維持しています。特許出願件数に対する特許登録件数の割合 (特許登録率) は増加傾向にあることから、出願人が特許出願にあたり厳選を行うことが浸透し、企業等における知的財産戦略において量から質への転換が着実に進んでいることが窺えます。

5.世界の特許出願件数・特許登録件数・PCT国際出願件数
(1) 2008年に193万件であった世界の特許出願件数は、この10年間で1.64倍に増加し、2017年には316.9万件に達しました。2017年の世界の特許出願件数の伸びは、主に、中国人による中国国家知識産権局への特許出願件数の大幅な増加によるものです。

(2) 世界の特許出願件数の増加に伴い、世界の特許登録件数も増加の傾向にあります。2008年には78.2万件でしたが、この10年間で約1.8倍に増加し、2017年には140.5万件でした。世界の特許登録件数のうち非居住者による登録は、この10年間で約1.7倍に増加し、2017年には全体の4割弱を占めました。2017年の日本居住者による特許登録件数のうち、約4割は外国での登録であり、我が国企業の知財活動が国内外に広く行われていることが分かります。

(3) PCT国際出願件数は、2009年以降増加しており、2018年は252,384件と、前年に引き続き過去最高となり、PCT国際出願制度の利用が引き続き活発であることが窺えます。PCT国際出願件数の推移を出願人居住国別に見ると、2018年の日本からの出願件数は、2014年から17.3%増の49,706件と、過去最高を記録しました。この日本からのPCT国際出願件数の増加の背景には、我が国企業等の活動が一層グローバル化したこと、PCT国際出願のメリットについて認識が高まってきたことなどがあると考えられます。また、2018 年の中国からのPCT 国際出願件数は前年比9.1%増の53,344 件を記録し、米国に次いで世界第2 位となっています。

6.外国人による日本への特許出願件数と日本での特許登録件数
2018年の外国人による日本への特許出願件数は、前年からほぼ横ばいの59,937件でした。このうち、米国と欧州からの出願が全体の73.4%を占めました。2018年の外国人による日本での特許登録件数は、前年からほぼ横ばいの42,085件でした。このうち、米国と欧州からの出願に基づく登録が全体の75.4%を占めました。

7.審判請求・異議申立の動向と審理動向
(1) 2018年における特許の拒絶査定不服審判の請求件数は、16,536件でした。前置審査の結果を見ると、拒絶査定を取り消して特許査定される件数(前置登録件数)の全体に占める割合は、2010年以降、6割前後で推移しています。2018年における特許の異議申立件数は、1,075件でした。2018年における無効審判の請求件数は、特許が159件、実用新案が2件でした。

(2) 2018年における特許の拒絶査定不服審判の平均審理期間は、12.4か月でした。2018年における特許異議申立ての平均審理期間は、7.2か月でした。2018年における特許・実用新案の無効審判の平均審理期間は、11.1か月でした。

8.大学等における知的財産活動
(1) 近年、産学連携の取組の推進とオープン・イノベーションを背景に、大学等における共同研究及び受託研究が活発化しています。

(2) 2017 年度の大学等における共同研究実施件数は、前年度より2,912 件増加して29,906 件でした。相手先別の内訳を見ると、民間企業が25,451 件と最も多く、独立行政法人等が2,065 件と続いています。

9.早期審査制度・スーパー早期審査制度
(1) 2018年の早期審査の申請は21,137件であり、利用数は年々増加傾向にあります。早期審査制度を利用した出願の2018年の一次審査通知までの期間は、早期審査の申請から平均2.3か月となっており、同制度を利用しない出願と比べ大幅に短縮されています。

(2) 「実施関連出願」かつ「外国関連出願」に該当する出願を対象として、通常の早期審査よりも更に早期に審査を行うスーパー早期審査の申請は、2018年において685件でした。スーパー早期審査制度を利用した特許出願の、2018年の一次審査通知までの期間は、スーパー早期審査の申請から平均0.7か月(国際出願後に国内に移行した特許出願については平均1.1か月)でした。