【日本】特許庁、特許行政年次報告書2020年版を公表

2020年12月NEW

特許庁から特許行政年次報告書2020年版が公表されました。
*下記URLをクリックして、特許庁ウェブサイトからご覧になれます。
https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2020/index.html
以下に、注目すべき項目について、報告書の掲載順に説明します。

1.特許出願件数
特許出願件数は、2015年以降31万件台で推移していましたが、2019年は307,969件となり、31万件台を割り込みました。一方で、日本国特許庁を受理官庁とした特許協力条約に基づく国際出願(PCT国際出願)の件数は、2014年を除き、一貫して増加傾向を示しており、2019年は51,652件(前年比6.2%増)となりました。

2.審査の迅速化
2019年度の特許の「権利化までの期間*」(標準審査期間)は平均14.3か月であり、「一次審査通知までの期間」(平均FA期間:審査請求日から一次審査までの平均期間)は9.5か月でした。
*権利化までの期間(標準審査期間、最終処分期間)は、審査請求日から取下げ・放棄又は最終処分を受けるまでの期間です。

3.特許審査実績
2019年の特許査定件数は167,945件、拒絶査定件数は54,779件、特許登録件数は179,910件、特許査定率*は、74.9%でした。
*特許査定率=特許査定件数/(特許査定件数+拒絶査定件数+一次審査通知(FA)後取下げ・放棄件数)

4.特許出願・審査請求・特許登録等
特許出願件数は近年漸減傾向であるものの、審査請求件数は2010年以降横ばいを維持おり、2019年は235,182件でした。特許出願件数に対する特許登録件数の割合(特許登録率)は増加傾向にあることから、企業等における知的財産戦略において量から質への転換が着実に進んでいることが窺えます。

5.世界の特許出願件数・特許登録件数・PCT国際出願件数
(1) 2009年に185.6万件であった世界の特許出願件数は、この10年間で1.79倍に増加し、2018年には332.6万件に達しました。2018年の世界の特許出願件数の伸びは、主に、中国人による中国国家知識産権局への特許出願件数の大幅な増加によるもので、世界の特許出願件数においては、米国特許商標庁、日本国特許庁がこれに続いています。

(2) 世界の特許出願件数の増加に伴い、世界の特許登録件数も増加の傾向にあります。2009年には81.5万件でしたが、この10年間で1.75倍に増加し、2018年には142.3万件でした。この世界の特許登録件数のうち非居住者による登録は、この10年間で約1.67倍に増加し、2018年には全体の4割弱を占めています。

(3) PCT国際出願件数は、2010年以降増加しており、2019年の出願件数は2018年に比べ約5%増加し、265,235件となり、過去最高を記録しました。
PCT国際出願件数の推移を出願人居住国別に見ると、2019年の日本からの出願件数は、2015年から19.6%増加して52,666件となり、過去最高となりました。日本からのPCT国際出願件数の増加の背景には、我が国企業等の活動が一層グローバル化したこと、PCT国際出願のメリットについて認識が高まってきたことなどがあると考えられます。

6.外国人による日本への特許出願件数と日本での特許登録件数
2019年の外国人による日本への特許出願件数は、前年比4.4%増の62,597件でした。このうち、米国と欧州からの出願が全体の69.1%を占めました。2019年の外国人による日本での特許登録件数は、前年比7.2%減の39,045件でした。このうち、米国と欧州からの出願に基づく登録が全体の72.4%を占めました。

7.審判請求・異議申立の動向と審理動向
(1) 2019年における特許の拒絶査定不服審判の請求件数は、16,699件でした。前置審査の結果を見ると、拒絶査定を取り消して特許査定される件数(前置登録件数)の全体に占める割合は、2010年以降、6割前後で推移しています。2019年における特許の異議申立件数は、1,073件でした。2019年における無効審判の請求件数は、特許が113件、実用新案が3件でした。

(2) 2019年における特許の拒絶査定不服審判の平均審理期間は、12.5か月で、特許異議申立ての平均審理期間は、7.4か月でした。また、特許・実用新案の無効審判の平均審理期間は、12.2か月でした。

8.大学等における知的財産活動
(1) 近年、産学連携の取組の推進とオープン・イノベーションを背景に、大学等における共同研究及び受託研究が活発化しています。

(2) 2018年度の大学等における共同研究実施件数は、前年度より2,186件増加して32,092件でした。相手先別の内訳を見ると、相手先別の内訳を見ると、民間企業が27,389件と最も多く、独立行政法人等が2,135件と続いています。

9.早期審査制度・スーパー早期審査制度
(1) 2019年の早期審査の申請は22,912件であり、利用数は年々増加傾向にあります。早期審査制度を利用した出願の2019年の一次審査通知までの期間は、早期審査の申請から平均2.5か月となっており、同制度を利用しない出願と比べ大幅に短縮されています。

(2) 「実施関連出願」かつ「外国関連出願」に該当する出願を対象として、通常の早期審査よりも更に早期に審査を行うスーパー早期審査の申請は、2019年において1,125件でした。スーパー早期審査制度を利用した特許出願の、2019年の一次審査通知までの期間は、スーパー早期審査の申請から平均0.6か月(国際出願後に国内に移行した特許出願については平均1.3か月)でした。