【メキシコ】メキシコ産業財産法改正-2026年4月4日施行

2026年04月NEW

2026年4月3日、メキシコにおいて改正連邦産業財産保護法(LFPPI)が公布され、同年4月4日より施行されました。本改正は、各種手続の迅速化・効率化を図るとともに、特許権を含む産業財産権の法的安定性を強化することを目的とするものです。

特許分野に関する重要ポイントは以下の通りです。

1.優先権回復制度の導入
優先期間満了後であっても、2か月以内であれば優先権の回復が可能となりました。

2.仮出願制度の導入
出願人情報および発明の説明といった簡易な要件により、早期の出願日確保を可能とする仮出願制度が導入されました。

ただし、以下の点に留意が必要です。
・出願後12か月以内に本出願を行う必要があります(延長不可)。
・他の出願に基づく優先権の主張は認められません。

3.優先権書類の補完制度
旧法では、出願日から3か月以内に優先権証明書およびそのスペイン語翻訳文を提出する必要がありました。
改正後は、期限徒過後に不備が判明した場合は、期限徒過後5営業日以内に補完することが可能となりました。もっとも、対応可能な期間が極めて短いため、実務上は留意が必要です。

4.手続権利の回復制度
審査手続において、拒絶理由通知等に対する応答の未提出や登録料の未納付等により権利を喪失した場合であっても、一定の要件の下で当該権利の回復を請求することが可能となりました。
当該申請は、期限徒過後15営業日以内に行う必要があり、申請にあたっては未履行となっていた手続の補完および所定手数料の納付が求められます。

5.審査期間の短縮およびオフィスアクションの削減
審査の迅速化を目的として、実体審査開始後は最長1年以内に最終判断がなされることとされ、あわせて拒絶理由通知の発行回数も従来の最大4回から2回へと削減されました。
また、当該期間内に最終判断がなされない場合には、出願人は新設された専門技術委員会に対し、判断を求めることが可能となりました。

6.専門技術委員会の新設
IMPIにおいて、少なくとも3名で構成される専門技術委員会が新設されました。
本委員会は、審査の遅延が生じた場合に、出願人からの申請に基づき「強制決定(mandatory resolution)」の可否を判断します。審査官に対する是正要求や制裁の可能性もあり、審査迅速化の実効性確保が期待されます。
もっとも、委員の選任基準や遅延判断基準については現時点で明確ではなく、今後の運用具体化が待たれるところです。

7.医薬品特許権の存続期間延長制度の導入
今回の改正により、医薬品の承認取得に要する期間により実質的に短縮された特許期間を補償する制度が導入されました。
改正法によれば、医薬品の承認手続に要した期間およびこれに対応する補償期間について、COFEPRIS(保健規制当局)からIMPIに通知がなされ、その後、IMPIが特許権者に対して当該内容を通知することとされています。また、補償証明書の発行に係る費用は特許権者が負担する仕組みとされています。
本制度は、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)第20.46条への対応として導入されたものです。もっとも、現時点では、補償期間の算定方法や適用対象等について明確な定めがなく、今後、政省令等による詳細なルールの整備が待たれます。