【米国】米国最高裁、「スキニーラベル」を採用した後発医薬品メーカーを支持 ~用途特許に基づく誘引侵害の主張に一定の制限~
2026年06月NEW
2026年6月4日、米国連邦最高裁判所は、先発医薬品メーカーであるAmarin社の心血管疾患治療薬「Vascepa」を巡る特許紛争(Hikma Pharmaceuticals USA Inc. v. Amarin Pharma, Inc.)において、後発医薬品メーカーであるHikma社を支持する全員一致(9対0)の判決(破棄差戻)を下しました。
1.スキニーラベルとは
本件で争点となった「スキニーラベル(Skinny Label)」とは、先発医薬品の一部の効能・効果や用途について特許が存続している場合に、後発医薬品メーカーがその特許の対象を添付文書(ラベル)から除外して承認を取得・販売する制度です。
2.事件の経緯
Hikma社はAmarin社の用途特許で保護されている心血管疾患リスク低減の適応をラベルから除外し、重度の高トリグリセリド血症のみを対象とするスキニーラベルで後発医薬品を販売していました。一方、Amarin社は、Hikma社のプレスリリースやウェブサイト上の記載が医師による特許対象用途への処方を促したとして、誘引侵害(induced infringement)を主張していました。
3.最高裁の判決
最高裁は、誘引侵害(35 U.S.C. §271(b))が成立するためには、Hikma社が第三者の医師による特許侵害を「積極的かつ明確に奨励した(actively encouraged)」と合理的に推認できる事実の主張が必要であると判示しました。単に医師がHikma社の情報を特許対象用途への指示又は推奨として読み得るというだけでは足りず、Hikma社による医師の侵害行為への積極的な働きかけが求められるとしました。
Hikma社が単に後発医薬品を販売していることや、医師が特許対象用途に処方する可能性があることだけでは、誘引侵害を基礎付けるには不十分であるとし、Amarin社の主張を退けました。
本判決は、スキニーラベル制度そのものの適法性を改めて確認するとともに、後発医薬品メーカーの通常の販売活動や一般的な製品紹介のみをもって用途特許の誘引侵害責任を問うことには一定の限界があることを示したものとして注目されています。
判決文全文(2026年6月4日)は以下URLから入手できます。
https://www.supremecourt.gov/opinions/25pdf/24-889_5i36.pdf?utm_source=chatgpt.com

