【カナダ】最高裁、医療行為方法は特許対象外との原則を維持―投与レジメン特許の有効性を確認
2026年07月NEW
2026年7月17日、カナダ最高裁判所は、Pharmascience Inc. v. Janssen Inc.(2026 SCC 26)において、医療行為方法(Methods of Medical Treatment)の発明は特許適格性を欠くという原則を再確認した上で、Janssen社の統合失調症治療薬パリペリドンパルミチン酸エステル(INVEGA SUSTENNA)の投与レジメンに関するカナダ特許(CA 2,655,335)は、本件では医療行為方法に当たらず、有効であると判断しました。判決は7対2の多数意見によるものであり、多数意見はMahmud Jamal判事が執筆しました。
本件では、初回投与、1週間後の追加投与、その後の月1回投与という、投与量および投与時期が特定された投与レジメンを含む請求項が争点となりました。後発医薬品メーカーであるPharmascience社は、当該請求項は特許適格性を欠く医療行為方法に該当すると主張し、その有効性を争いました。
これに対し、最高裁多数意見は、請求項が医療行為方法に該当するか否かは、請求項の実質的内容を踏まえつつ、請求項に係る発明の実施が医師の専門的技能および裁量(professional medical skill and judgment)の行使そのものに当たるかどうかを中心に判断すべきであるとしました。その判断に当たっては、①当該発明の主題それ自体が医師の専門的技能および裁量に当たるか、②当該発明の特定の患者への適用にどの程度の個別調整が必要か、③医療行為方法を除外する趣旨に照らして、医療専門家が通常の診療過程で発展又は改良し得る性質のものか、といった点(これらに限られない)が指針として示されました。
その上で、最高裁多数意見は、投与レジメンは類型的に常に特許適格又は非適格となるものではなく、固定投与と変動投与の形式的区別によって決まるものでもないとしつつ、本件では、記録上の事実および証拠に照らし、当該請求項は、特定の投与レジメンに基づく治療の実施に際し、患者ごとの治療上の調整判断そのものを請求するものではなく、医師の専門的技能および裁量を要しないとして、医療行為方法には該当せず、特許適格性を有すると判断しました。これにより、Pharmascience社の無効主張は退けられました。
判決文全文は以下のURLから入手できます。
https://decisions.scc-csc.ca/scc-csc/scc-csc/en/item/21581/index.do

