【ブラジル】産業財産法改正法案(Bill No. 2,210/2022)の審議状況

2026年08月NEW

現在、ブラジル産業財産法の改正を提案するBill No. 2,210/2022が、連邦上院で審議されています。本法案は当初、マドリッド協定議定書への加盟を踏まえた商標制度の近代化を目的として提出されましたが、その後、代替案や修正案の提出を通じて、特許制度に関する改正案も盛り込まれています。

主な特許関連の改正提案は、次のとおりです。

• 仮出願制度(provisional patent application)の導入
• 出願補正に関する第32条の改正
• 実体審査請求・審査時期に関する第33条の改正

これらのうち第32条・第33条をめぐっては、審査過程における出願補正の柔軟性拡大に加え、出願人が実体審査の開始時期を先送りすることを可能とする「審査繰延べ(deferred examination)」制度の導入が提案されています。この点について、ブラジル知的財産協会(ABPI)およびブラジル工業所有権代理人協会(ABAPI)も、補正機会の拡大を求める意見を表明しています。

さらに、2026年5月に提出された修正案第8号では、産業財産法第209条に新たな第3項を追加し、外国裁判所によるアンチ・スーツ・インジャンクション(anti-suit injunction)等によって、ブラジル国内での訴訟提起やブラジル裁判所の判断の実効性が妨げられる場合に対する対抗措置を設けることが提案されました。これは、特に標準必須特許(SEP)をめぐる国際紛争を念頭に、ブラジルの裁判管轄権および裁判所の判断の実効性を確保することを目的とするものです。

その後提出された修正案第9号では、修正案第8号の内容についてさらに調整が提案されており、以下の点が示されています。

• 濫用的行為の認定基準の明確化
• 適正な手続の保障および制裁措置の均衡性の確保
• 関与していない第三者への制裁拡大の制限

本法案は現在、上院の科学技術・イノベーション・通信・情報委員会において審議中です。ブラジル産業財産庁(INPI: Instituto Nacional da Propriedade Industrial)における特許審査実務、出願戦略、国際的な特許紛争対応に影響を及ぼす可能性があることから、引き続き動向を注視してまいります。