【台湾】台湾における特許審査促進制度のご紹介

2022年03月

現在、日本の出願人が台湾で利用できる特許審査促進制度・プログラムとして、「産業協力のための特許審査面接試行プログラム」、「加速審査(Accelerated Examination Program:AEP)」、「優先審査」、「連合面接」、及び「特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway:PPH)」があります。
尚、2021年1月1日に開始された「スタートアップ企業に対する積極型特許審査制度」の試行につきましては、期間限定(6ヶ月間)の試行プログラムであったこと、及び申請件数が上限に達したことから現在は申請を受け付けていません。

1. 産業協力のための特許審査面接試行プログラム
2021年11月1日から1年間の予定で試行されているプログラムで、先端科学技術に関する特許出願に利用できます。
面接により、審査官が出願に係る先端科学技術の内容を迅速に把握することができ、審査の効率化と品質向上につながることが期待されています。面接後、原則として6ヶ月以内に台湾知的財産局(TIPO)から審査結果が通知されます。

対象となる先端科学技術は、幹細胞再生医療、メディカルケア・インフォマティクス、マイクロLEDディスプレイ、量子ドット太陽電池、ニューラルネットワーク、量子情報、量子コンピュータ、3ナノ半導体製造プロセス、パッケージプローブの精密化、ねじれ二層グラフェン、第3世代半導体材料、人工知能、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、ブロックチェーン、3Dプリント、5G(第5世代移動通信システム)、その他審査官が個別に判断した技術です。
尚、TIPOの手数料は不要です。

2. 加速審査 (AEP)
AEPは、出願公開後、以下の①から④の場合に利用できます。
① 対応外国出願が実体審査を経て特許査定済
② 日本、米国、欧州の特許庁から拒絶理由通知及びサーチレポート発行後(査定前)
③ 出願人の商業的実施に必要な発明
④ グリーン・テクノロジーに関する発明

④につきまして、従来、グリーン・エネルギーに関する発明が対象でしたが、2022年1月1日より、グリーン・テクノロジーに関する発明に対象が拡大されました。
また、上記③と④の場合、審査結果までの処理期間の規定が9ヶ月から6ヶ月に短縮されました。これらの改定は、2022年1月1日以降の出願に適用されます。

尚、①と②の場合は、TIPOの手数料は不要ですが、③と④の場合はNT$4,000(約16,500円)の申請料が必要です。

3.優先審査
優先審査は、出願公開後、出願人以外の第三者が出願に係る発明を業として実施している場合に利用できます。
申請には、第三者の業としての実施を証明する書類の提出が必要ですが、TIPOの手数料は不要です。

4. 連合面接
同一出願人が技術的に関連する複数の特許出願をしている場合に、初審の段階で、一度の面接でまとめて審査官に技術内容を説明することにより、審査効率を高め、早期権利化を図るプログラムです。一度に申請できる特許出願の件数は10件までで、TIPOの手数料は不要です。
申請が認められると、1ヶ月以内に連合面接の通知書が送付され、連合面接後3ヶ月以内、又は出願人が連合面接中に指定された期間内に応答・補正を提出してから3ヶ月以内に審査結果が発行されます。

5. 特許審査ハイウェイ(PPH)
対応する日本出願が存在し、すでに特許可能と判断された一又は複数の請求項を有する場合等、一定の要件を満たす場合にPPH申請をすることができます。
PPH申請の要件等、詳細につきましては下記URLをご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/document/guideline/taiwan_tipo_ja.pdf

尚、日台PPH 試行プログラムの実施効果が良好であったことから、2020年5月1日より、日台PPHプログラムは継続的なプログラムとして本格実施されています。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/7787/