【日本】特許法改正-訂正審判等における通常実施権者の承諾が不要に

2022年01月

現行の特許法では、特許権者が訂正審判を請求するとき又は特許異議の申立てや特許無効審判の手続の中で訂正の請求を行う場合には、通常実施権者等の承諾が必要とされています。
しかし、近年のライセンス契約の実体は、1つの特許権を1者にライセンスする単純な態様から、多数の特許権を多数の者にライセンスする大規模かつ複雑な態様へと変化してきています。例えば、複数の特許権者が所有する特許を、一つの組織体で管理運用し、その構成員が必要なライセンスを受けることができる枠組みである「パテントプール」の存在があります。
このような、ライセンス態様の複雑化等に伴い、訂正審判等において全ての通常実施権者の承諾を得ることが、現実的には困難なケースが増加してきました。このような場合、無効審判請求等に対する訂正請求等ができなくなり、特許権者の防御手段が実質的に失われることも懸念されていました。

そこで、令和3年5月14日に可決・成立し、5月21日に法律第42号として公布された、「特許法等の一部を改正する法律」において、訂正審判請求及び訂正請求において通常実施権者の承諾を不要とする改正がなされました。また、上記と同様の理由から、特許権の放棄に際しても、通常実施権者の承諾を不要とする改正がなされています。
法律第42号は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内で、政令で定める日から施行されます。