【マレーシア】特許法・施行規則改正-2022年3月18日施行

2022年06月

マレーシアの特許法及び特許施行規則が改正されました。今回の改正の目的は、TRIPS 協定、地域包括的経済連携協定(RCEP)、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への準拠、及び微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の加盟に向けて、国内法を整備する事にあります。
主な改正事項は以下の通りです。

1. 微生物学的方法により得られた物について
改正特許法では、微生物学的方法により得られた物も特許の保護対象となり得ることとなりました。また、改正特許規則では、微生物の定義、及び微生物の寄託についての規定が設けられています。

2. 分割出願について
改正前の規則では、指令分割(単一性要件違反の指摘を含む審査報告書に対して行う分割出願)の場合、その審査報告書の郵送日から3ヶ月以内(規則19A(a))、また、自発分割(出願人が自発的に行う分割出願)の場合、最初の審査報告書の郵送日から3ヶ月以内に分割出願ができる(規則19A(b))と規定されていました。
今般の改正により、3ヶ月の期限は延長できないことが、明文化されました。
また、出願人が規則19A(b)の自発分割出願をする権利を放棄することにより、登録官が、最初の審査報告書発行後、直ちに特許を付与することが可能となる規定が新設されました。

3. 完全実体審査請求の延期申請の撤廃
改正前は、完全実体審査の場合も修正実体審査の場合も、審査請求期限は国際出願日から4年であり、さらに1年の延期申請が認められていました。
改正規則では、完全実体審査の場合は、1年の延期申請ができないこととなりました。

4. 審査報告書に対する応答期間
完全実体審査の場合も修正実体審査の場合も、審査報告書に対する応答期間が、改定前の2ケ月から3ケ月に延長されました。

5. 情報提供及び異議申立制度の導入
特許出願公開日又は国内移行日から3ヶ月以内に、新規性及び進歩性に関する事項についてのみ、第三者による情報提供が可能となりました。但し、所定の手数料が必要です。
また、利害関係人は、特許公報掲載日から一定の期間、付与された特許に対して異議申立をすることが可能となりました。

改正特許法及び特許施行規則の詳細につきましては、マレーシア知的財産公社(MyIPO)の以下URLをご参照ください。
https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/02-PATENTS-AMENDMENT-ACT-2022.pdf
https://www.myipo.gov.my/wp-content/uploads/2022/03/PERATURAN-PERATURAN-PATEN-PINDAAN-2022.pdf