【日本】期間徒過後の救済規定に係る回復要件が「正当理由」から「故意でない」に緩和‐2023年4月1日より

2023年04月

特許法等の一部を改正する法律案が2021年5月14日に国会で可決・成立し、同年5月21日に法律第42号として公布され、2023年4月1日に施行されました。
今回の改正により、手続期間徒過により特許権等の権利が消滅した場合の権利回復の判断基準が、「正当理由(相当な注意基準)」から「故意でない(故意基準)」に緩和され、これまでは救済されなかった、期間管理ソフトの入力ミス等の人為的ミスや、管理システムの瑕疵等の手続管理上のミスに起因する手続期間徒過も救済の対象となり得ることとなりました。
詳細につきましては弊所知財トピックス2022年4月掲載分をご参照ください。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/11329/

1. 対象
施行日である2023年4月1日以降に手続期間を徒過した手続が「故意でない基準」の対象となります。
「故意でない基準」の対象となる手続きは、意匠・商標を含めると全部で18種類あり、その内、特許及び実用新案に関する手続きは以下の12種類です。


2. 回復手数料
制度の濫用を防ぐとともに、手続期間遵守のインセンティブとするために、権利の回復申請には一定の手数料が必要となりました。回復手数料は以下の通りです。
・特許   212,100円
・実用新案 21,800円
・意匠   24,500円
・商標   86,400円

但し、災害など手続期間徒過の責任を手続き者に問えない場合、別途の申請を行うことにより手数料が免除される可能性があります。

3. 権利回復の申請可能期間
所定の手続期間内に手続をすることができなかったことが「故意によるものでない」場合は、期間徒過後の手続ができるようになった日から2月以内かつ手続期間の経過後1年以内(「救済手続期間」)にその手続をするとともに、手続をすることができなかった理由を記載した「回復理由書」を提出する必要があります。

図:救済手続期間

図出典:JPOウェブサイト
期間徒過後の救済規定に係る回復要件が「正当な理由があること」から「故意によるものでないこと」に緩和されます
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/kyusai_method2.html

4. 救済が認められない事例
出願人等が手続をしないと判断して所定の期間を徒過した後、期間徒過後に状況の変化などを理由に救済手続をすることとした場合は、手続をすることができなかった理由が「故意によるものである」と判断され救済が認められない可能性があります。

その他、救済が認められない事例や手続きの詳細につきましてはJPOの下記URLをご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/kyusai_method2.html