【カナダ】特許期間調整(PTA)導入法案可決

2024年01月

現行のカナダ特許法では、特許権の存続期間は原則として出願日から20年と定められています。但し、医薬品等に関する特許については、補充保護証明(Certificates of Supplementary Protection: CSP)を取得することで最大5年間、存続期間を延長することができます。
しかし、CSPの対象とならない特許については、存続期間を延長するシステムがなく、カナダ特許庁(CIPO)の審査に遅延があった場合、特許権者は特許権行使可能期間が短くなるという不利益を被ることになります。
これまでCIPOは、審査期間の短縮に努めてきましたが、出願審査請求から特許発行までに要した時間は2022-23年度において平均32.3ヶ月でした。

そこで、2023年6月22日、CIPOの審査遅延により浸食された特許期間を補償すべく、特許期間調整(PTA)を導入する法案が可決され、遅くとも2025年1月1日までに施行される予定です。

PTAの詳細な規定はまだ公表されていませんが、PTAは2020年12月1日以降に出願されたカナダ特許出願に適用され、出願日から5年又は出願審査請求日から3年のいずれか遅い日より遅れて特許が付与された場合に遅延期間が延長可能となる予定です。但し、出願人に起因する審査遅延期間がある場合はその日数が延長可能期間から控除されます。

尚、PTAは、自動的に付与されるものではなく、特許権者は、特許発行から3ヶ月以内にPTAを申請し、手数料を支払わなければならないことに注意が必要です。