【オーストラリア】IP Australia、コンピュータ実装発明の審査マニュアルを改訂
2026年07月NEW
オーストラリア知的財産庁(IP Australia)は、2025年のAristocrat判決(Aristocrat Technologies Australia Pty Ltd対特許庁長官事件、連邦裁判所大法廷判決)を受けて、コンピュータ実装発明(Computer-Implemented Inventions:CII)に関する特許審査マニュアル(Patent Manual of Practice and Procedure)を2段階にわたり改訂しました。
第1段階(2026年3月16日)
IP Australiaは、同判決を踏まえ、特許審査マニュアルのうち特許適格性(manner of manufacture)に関する章を改訂しました。その後、この改訂案に対して実務関係者から多数の意見が寄せられたことから、IP Australiaは追加の意見募集を実施しました。
第2段階(2026年7月6日)
IP Australiaは、上記の意見募集で寄せられたフィードバック等を踏まえ、特許審査マニュアルを改めて改訂しました。今回の改訂では、3月の改訂で批判のあった「relevant artificial effect(関連する人為的効果)」という文言や、通常のコンピュータ実装を超える「something more(何か追加的な要素)」が必要であるとの示唆が削除されました。また、過去の判例は、「コンピュータ技術における進歩」が特許適格性の必須要件であると解釈すべきではないことも明確化されました。
改訂後のマニュアルでは、発明の一部の特徴のみを抽出して発明の本質や技術的特徴を判断するのではなく、クレーム全体を考慮し、すべての構成要素がどのように組み合わされ、機能するかを総合的に評価すべきとの考え方がより明確に示されました。
もっとも、この改訂によってソフトウェア関連発明が広く特許を受けやすくなるわけではなく、ビジネス手法、金融スキーム、事務処理、マーケティング手法、物流最適化、情報の提示等は、標準的なコンピュータ技術で実装されただけでは引き続き特許の対象とはなりません。

