【日本】環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に伴う特許法改正

2017年04月

「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」が、2016年12月9日に国会で可決・成立し、12月16日に公布されました。施行日は、TPP協定が日本について効力を生ずる日です。この法律で改正された改正特許法には、主として、以下のことが盛り込まれています。

(1)発明の新規性喪失の例外期間の延長

・特許を受ける権利を有する者が特許出願前に自ら発明を公表した場合、又は特許を受ける権利を有する者の意に反して発明が公表された場合等に、その公表によってはその発明の新規性等が否定されないとする「発明の新規性の喪失の例外」が適用される期間(いわゆるグレースピリオド)を、6月から1年に延長する(特許法第30条)。
・この改正事項は実用新案にも適用されます(実用新案法第11条第1項で準用する特許法第30条)。
・これは、TPP協定の要請を受けて例外期間を延長し、多様な発明をより適切に保護するためです。

(2)特許権の存続期間の延長制度の整備

・特許権の設定の登録が、特許出願の日から起算して5年を経過した日、又は出願審査の請求があった日から起算して3年を経過した日のいずれか遅い日以後にされたときは、延長登録の出願により、特許権の存続期間を所定期間だけ延長できる(特許法第67条等)。
・特許権の存続期間は、原則として出願から20年で満了するため、審査等に時間がかかった場合、その分の権利期間が短くなりますが、特許権の存続期間を延長できる制度を設け、適切な権利期間を確保するためです。

なお、改正特許法は、原則として、TPP協定が日本国について効力を生ずる日に施行される予定ですが、施行されるか否かも含めて今後の動向は予断を許さない状況です。今後の動向が正式に判明し次第、お知らせします。