【日本】新しい運用で日米協働調査の試行を再開

2018年01月

日本国特許庁と米国特許商標庁(USPTO)は、日米の特許審査官が協働して、対応する特許出願の審査を実施することにより、審査の質の向上を図ることを目的とし、2015年8月1日に日米協働調査試行プログラムを開始しました。同プログラムは2017年7月31日に終了しましたが、その後、日本国特許庁は、USPTOと調整を進め、2017年11月1日に、新運用による日米協働調査試行プログラムを再開しました。このプログラムの試行期間は3年間です。

日米両国に特許出願した発明について、日米協働調査試行プログラムへの参加申請をすると、日米の特許審査官がそれぞれ先行技術調査を実施し、その調査結果及び見解を共有した後に、それぞれの特許審査官が、早期かつ同時期に最初の審査結果を送付することになります。

その結果、我が国企業等は、日米両国に特許出願した発明について、審査・権利取得の時期に関する予見性が向上するとともに、日米の特許審査官による調査結果を踏まえたより強く安定した権利を、日米両国において早期かつ同時期に得ることが可能となり、国際事業展開の促進が期待されます。

1.日米協働調査の対象となる日本特許出願

(1) 日米協働調査の対象となる日本特許出願(以下「JP出願」)は、少なくとも対応する米国特許出願(以下「US出願」)があるものであって、下記(2)に記載の要件を全て備えたものを対象とします。公開前の出願についても申請が可能です。

(2) 日本における主な申請要件は、次の通りです。
① 1出願あたり請求項総数20以内、独立請求項数3以内であること。
② 全ての独立請求項に対し、USPTOにおいて実質的に対応する独立請求項を有する対応US出願があること。 JP出願の独立請求項の範囲がUS出願の独立請求項の範囲と実質的に同一の範囲を有する場合に、「実質的に対応する」とします。
③ 審査着手可能な状態であり、かつ、審査着手前であること。「審査着手前」とは、「特許庁長官又は特許庁の審査官による以下のいずれかの通知等が到達する前」を意味します。
(i) 拒絶理由通知(特許法第50条)
(ii) 特許査定の謄本(特許法第52条第2項)
(iii) 明細書における先行技術文献開示義務違反の通知(特許法第48条の7)
(iv) 同一発明かつ同日出願の場合の協議指令(特許法第39条第6項)
④ 対応する独立請求項の最先の優先日が同じであること。
⑤ 日米協働調査の申請時に審査請求済であること(審査請求と同時に申請可能)。
⑥ 早期審査及びスーパー早期審査等を申請していないこと。ただし、申請を取り下げた場合には、日米協働調査の申請可。

2.日米協働調査の申請

(1) 日米協働調査に参加するためには、一方の庁に申請書を提出してから15日以内に他方の庁に申請する必要があります。

(2) 日米協働調査の申請に際しては、特許庁(日本国特許庁及びUSPTO双方)への手続に係る手数料は不要です。

(3) 両庁での申請受理(申請が許可される)件数は、400件を上限とします。 

3.日米協働調査への参加の可否判断及び日米協働調査

(1) 日本国特許庁は日米協働調査に係る申請要件について判断した後、USPTOに判断結果を通知し、その後、USPTOからの判断結果を踏まえて、日本国特許庁が出願人にメールにより、日米協働調査に係る申請要件の判断結果を連絡します。USPTOも同様に、日米協働調査に係る申請要件の判断結果を出願人に連絡します。 

(2) 両庁で参加が承認された後に、両庁で調査が開始されます。

(3) 通常、日米協働調査参加承認から4か月以内に、両庁は最初の審査結果の案を交換することになっています。また、日米協働調査参加承認から6か月以内に、両庁は最初の審査結果を出願人に通知することになっています。 

日米協働調査の申請から日米協働調査への参加の可否の通知まで、及び、日米協働調査の進め方の詳細につきましては、特許庁の以下のサイトをご覧ください。https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/general/nichibei.html
https://www.jpo.go.jp/seido/tokkyo/tetuzuki/shinsa/zenpan/files_nichibei/tetsuzuki.pdf