【日本】新たな特許料等の減免制度開始-2019年4月1日より減免対象が拡大され、申請手続が簡素化されます

2019年03月

中小企業等を対象とした特許料等の減免措置が規定された「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(新法)に基づき、特許料(1~10年分)、出願審査請求料及び国際出願関連手数料 (以下、「特許料等」といいます) の減免措置の対象が拡大されることになりました。また、減免申請手続が大幅に簡素化されます。

1.背景
これまで一部の中小企業が対象であった、特許料等の軽減措置を、全ての中小企業に拡充することとする「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が第196回通常国会において成立しました。
2019年1月8日、「不正競争防止法等の一部を改正する法律」附則第1条第4号に掲げる規定の施行期日を2019年4月1日とすること等が規定された政令が公布されました。

詳しくは、以下の特許庁のサイトをご覧下さい。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/seireikaisei/tokkyo/fusei_kaisei_h310108.html

2.特許料等の軽減対象者と軽減率は下記のとおりです。
・中小事業者、特定中小事業者、試験研究機関等 (大学、大学の技術移転を行う事業者、試験研究独立行政法人等): 1/2 軽減
・小規模企業 (従業員20人以下)、 ベンチャー企業 (設立10年未満): 2/3 軽減
・福島復興再生特別措置法に係る事業を行う中小事業者: 3/4 軽減

3.特許料等の軽減措置に関する新・旧制度の適用は出願審査請求日基準で判断されます。
(1)施行日(2019年4月1日)以降に出願審査請求をした場合には、新法による減免制度(以下、「新減免制度」)が適用され、新減免制度に基づいた申請手続を行うことが可能です。
(2)施行日より前(2019年3月31日以前)に出願審査請求をした場合には、施行日よりも前に存在している減免制度(以下、「旧減免制度」)が適用され、旧減免制度における申請手続を行うことが必要です。

4.新減免制度での減免申請方法
新減免制度では、減免申請書を提出しなくとも、「出願審査請求書」の【手数料に関する特記事項】、又は「特許料納付書」の【特許料等に関する特記事項】に「減免を受ける旨」と「減免申請書の提出を省略する旨」の記載をすれば、減免を受けることが可能となります。また、証明書類についても、提出が不要となります。
また、減免を受ける者を含む共同出願の場合は、減免申請書を提出しなくとも、「出願審査請求書」の【手数料に関する特記事項】、又は「特許料納付書」の【特許料等に関する特記事項】に「減免を受ける旨」、「減免を受ける者」、「その者の持分の割合」及び「減免申請書の提出を省略する旨」を記載し、出願審査請求書又は特許料納付書の【その他】に「正規の納付金額に対する持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額の割合」を記載すれば、減免を受けることが可能となります。この際、証明書類及び持分を証する書面についても、提出が不要となります。
さらに、新減免制度では減免申請先がすべて特許庁に統一されます。

新減免制度について詳しくは、以下の特許庁のサイトをご覧下さい。
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/index.html

5.出願審査請求料改正
特許料等の軽減措置の拡充により特許特別会計において恒常的に歳出が歳入を超過することが予想されるため、出願審査請求料の基本料金が、通常の特許出願の場合で20,000 円値上げされます。

特許庁等の軽減措置とは異なり、審査請求料の金額に関する新・旧料金の適用は現実の出願日に基づいて判断されます。
(1)施行日(2019年4月1日)以降に出願をした場合には、新法による出願審査請求料が適用され、出願審査請求料が増額されます。
(2)施行日より前(2019年3月31日以前)に出願をした場合には、施行日よりも前に存在している出願審査請求料が適用され、従前の出願審査請求料が適用されます。

詳しくは、以下の特許庁のサイトをご覧下さい。
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/2019_ryoukinkaisei.htm

(編集者注: 「国際出願促進交付金の交付申請手続」及び「国際出願に係る手数料の軽減措置の申請手続」につきましては、以下の特許庁のサイトをご覧下さい。https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/pct_kofu_shinsei.html
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/pct_keigen_shinsei.html