【米国】放棄された特許出願復活等の請願に関する規則の明確化

2020年06月

米国特許商標庁 (USPTO) は、2020年3月2日付けFederal Register (官報) にて、放棄された特許出願の復活等について、2年以上経過した後に復活の請願がなされた場合には、「故意でない」ことを証明する追加の情報提出を求めると公表しました。この規則は、2020年3月2日以降にその認否が決定されるすべての請願に適用されます。

追加の情報提出が必要となる請願は以下の通りです。
・特許出願が放棄となった日から2年以上経過した後の出願復活の請願
・年金未納による特許権消滅から2年以上経過した後の年金追納の請願
・優先期限から2年以上経過した後の優先権主張の請願

背景説明
特許法条約 (PLT) の批准に伴い、2013年に米国特許法が改正され、放棄された特許出願の復活や年金未納により消滅した特許権の回復の基準において、「Unavoidable (不可避)」基準が削除され、「Unintentional (故意でない)」基準のみに統一され簡素化されました(27条、41条(c)(1))。以来、遅延の理由が「故意でない」とされている請願についてはその復活等がほぼ自動的に認められてきました。
しかし、遅延の理由が実際にはMPEP(審査基準)で定められた「故意でない」基準(711.03(c)(II)(C)(1))を満たしていない請願も含まれていることも当然予想され、そのような請願に基づいて、一度放棄された出願の復活や消滅した特許権の回復を認めることは、第三者に対して公平ではなく、また、消滅した特許権等がいつ回復するか予測できない状況が発生し、特許制度の安定性・予測可能性を損なうこととなっていました。このような状況を解決すべく、USPTOは、2年を区切りとして、それ以後の請願については、「故意でない」ことを証明する追加の情報提出を求めることとしました。

USPTOによりますと、2年の区切りが最適であるか等の詳細について、今後見直しされる可能性があります。