【オーストラリア】イノベーション特許制度廃止決定

2020年08月NEW

オーストラリアにおいて、イノベーション特許制度の段階的廃止規定を含む知的財産法の改正法案が議会を通過し、2020年2月26日に正式な法律として成立しました。これにより、2021年8月26日以降に新規のイノベーション特許を出願することは、原則的にはできなくなります。

1.イノベーション特許のメリットと問題点
イノベーション特許(Innovation Patent)は、日本の実用新案と同様、実体審査を経ずに比較的低コストで、早期に権利化することが可能です。イノベーション特許の存続期間は出願から8年で満了しますので、ライフサイクルの短い製品等の保護には有用です。

一方、日本の実用新案とは違い、イノベーション特許では保護対象が物品の形状等に限られず、方法や化合物、ソフトウェアやビジネスモデルなども保護され得ます。イノベーション特許の特許要件は標準特許(Standard Patent)とほぼ同じですが、進歩性 (inventive step)に代わってより要件の緩やかなイノベーティブ・ステップ (innovative step)の充足が求められます。このように、標準特許に比べるとより容易に権利化され得る一方で、一度権利化されると無効にすることが困難であるとされます。このようなメリットを戦略的に悪用するケースが増加しており、問題視されていました。

2.完全廃止までのスケジュール
・2021年8月26日以降は、新規のイノベーション特許出願はできません。但し、2021年8月25日以前に出願されたイノベーション特許には法改正の影響はなく、8年の存続期間満了まで従来どおりの保護を受けることができます。
・2029年8月25日までの間であれば、出願日(優先日)が2021年8月25日以前の標準特許出願に基づいて、
(1)分割出願として新たなイノベーション特許出願をすること、または
(2)イノベーション特許出願への変更
が可能です。上記(1)(2)のいずれの場合においても、その結果取得されたイノベーション特許の存続期間は、原標準特許の出願日(優先日)から8年で満了します。
・その結果、2029年8月25日には、全てのイノベーション特許の存続期間が満了し、イノベーション特許制度が完全に終了することになります。