【欧州】欧州特許庁(EPO)拡大審判部、本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物又は動物は特許の対象外と結論

2020年09月NEW

2020年5月14日付け欧州特許庁(EPO)拡大審判部審決(G3/19)において、EPO長官から付託されていた「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物又は動物」の特許性についての見解が示されました。

1.背景
(1)従来、EPOでは「植物又は動物の製造のための本質的に生物学的な方法」は特許の対象外とされてきました(EPC第53条(b))。しかし、「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物又は動物」についての明確な規定はありませんでした。
(2)2015年3月、EPO拡大審判部は審決G2/12及びG2/13において、本質的に生物学的な方法により得られた植物又は植物由来材料は特許の対象となると判断しました。
(3)一方、2016年11月3日付欧州委員会通知において、「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物及び動物」も特許の対象外とすべきとの見解が示されました。
(4)本通知を受け、2017年6月30日、EPOはEPC規則第27条及び第28条を改正し、「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物及び動物」は特許対象外であることを明文化しました。
(5)しかし、2019年2月5日に公表された審決T1063/18(審査部の拒絶査定に対する不服審判事件)において、EPO審判部は「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物及び動物」を特許の対象外とするEPC規則第28条(2) は、拡大審判部によるEPC第53条(b) の解釈と矛盾しているとの判断を示しました。

*詳しくは、2019年4月の知財トピックス(下記URL)をご参照ください。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/6159/

これを受け、EPO長官は、G2/12及びG2/13後の法的整備等、特にEPC規則28(2)の新設に鑑みた、EPC第53条(b)の解釈について、拡大審判部に質問を再付託していました。

2.拡大審判部の見解
拡大審判部は、条文等の法的解釈は時間の経過等とともに変化し発展し得るものであり、G2/12及びG2/13で示されたEPC53条(b)の解釈は最終的な決定ではないとして、これを破棄しました。そして、EPC規則28条(2)の新設やこれに至った経緯等に照らし、「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物、植物由来材料、および動物」も特許の対象外と解釈されるべきとの見解を示しました。

3.適用範囲
法的安定性を確保し、特許権者や出願人の正当な利益を保護するため、EPC第53条(b)の新たな解釈は、2017年7月1日より前に付与された欧州特許又は出願日が2017年7月1日より前である係属中の欧州特許出願には遡及適用されないと拡大審判部は述べています。

EPOのプレスリリースについては以下のURLをご参照下さい。
https://www.epo.org/law-practice/case-law-appeals/communications/2020/20200514.html

G3/19拡大審判部の見解全文については以下のURLをご参照下さい。
http://documents.epo.org/projects/babylon/eponet.nsf/0/44CCAF7944B9BF42C12585680031505A/$File/G_3-19_opinion_EBoA_20200514_en.pdf