【欧州】欧州特許庁(EPO)の審判部が「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物」は特許の対象となり得るとの判断

2019年04月NEW

2019年2月5日に公表された審決T1063/18(審査部の拒絶査定に対する不服審判事件)において、EPO審判部は「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物及び動物」を特許の対象外とするEPC規則第28条(2) は、拡大審判部によるEPC第53条(b) の解釈と矛盾しているとの判断を示しました。その上で、規則と条約とが矛盾する場合は、条約を優先すべきであるとのEPC第164条(2) の規定に従い、「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物」であることを唯一の理由とする原拒絶査定を取消しました。

1.EPC規則第27条及び28条改正の経緯
(1)従来、EPOでは「植物又は動物の製造のための本質的に生物学的な方法」は特許の対象外とされてきました(EPC第53条(b))が、「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物又は動物」についての明確な規定はありませんでした。
(2)2015年3月、EPO拡大審判部審決G2/12及びG2/13において、EPC第53条(b)において「植物の製造のための本質的に生物学的な方法」が非特許事由とされているとしても、そのことが、本質的に生物学的な方法により得られた植物又は植物由来材料の特許性に悪影響を及ぼすことはない、との判断が示されました。
(3)一方、2016年11月3日付欧州委員会通知において、「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物及び動物」も特許の対象外とすべきとの見解が示されました。
(4)本通知を受け、2017年6月30日、EPOはEPC規則第27条及び第28条を改正し、「本質的に生物学的な方法のみにより得られた植物及び動物」は特許対象外であることを明文化しました。

*詳しくは、2017年10月の知財トピックス(下記URL)をご参照ください。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/4365/

2.今後の動き
今回の審決が実務に与える影響につきまして、詳しい情報が入り次第続報としてお知らせさせていただきます。

審決T1063/18は下記URLから入手できます。
https://www.epo.org/law-practice/case-law-appeals/recent/t181063eu1.html