【韓国】特許法施行規則等の一部改正-自由な形式での出願が可能に

2020年08月

特許法施行規則及び実用新案法施行規則が改正され、2020年3月30日に施行されました。これにより、米国の仮出願 (Provisional Application) のような形式に制約のない明細書の提出が可能となりました。

1.提出可能となった「臨時明細書」
これまでは特許出願には所定の明細書の提出が必須とされていたため、論文などの研究結果はそのまま明細書とすることができず、規則で定められた明細書形式に転換する必要がありました。
今回の改正により、論文・研究ノートなどに記載された発明を明細書形式に転換することなく、「臨時明細書」としてそのまま提出することが可能となりました。
また、ファイル形式がPDF、DOC、DOCX、PPT、PPTX、HWP、JPG、TIFであれば、電子ファイルでの提出も可能です。
ただし、「臨時明細書」に認められる外国語は英語のみであり、日本語は認められません。

2.「臨時明細書」の活用
「臨時明細書」を提出した状態(仮出願)のままでは審査を受けられませんので、①「臨時明細書」提出の日から1年以内に優先権主張を伴う出願をして、その臨時明細書を提出した日付で出願日を認めてもらう方法が勧奨されます。或は、②「臨時明細書」提出の日から1年2ヵ月以内に、正式な明細書を再提出する必要があります。

②の場合、1年2ヵ月以内に、正式な明細書の提出がなければ、仮出願は取り下げたものと見なされます。②で、韓国の仮出願が取り下げたものと見なされた場合でも、当該仮出願はパリ条約の優先権の基礎とできますので、仮出願の日から1年以内に、この仮出願を基礎とした優先権を伴う日本への出願が可能です。したがって、日本の出願人にとっても、「臨時明細書」の提出は、少しでも早い優先日を確保する手段として有効な選択肢の一つとなり得ると思われます。