【米国】USTR、2026年版スペシャル301条報告書を公表
2026年05月NEW
米国通商代表部(USTR)は、2026年4月30日、スペシャル301条報告書(2026 Special 301 Report)を公表し、各国の知的財産保護・執行状況に関する評価を発表しました。
この報告書は、1974年米国通商法182条に基づき、知財保護が不十分な国や、公正かつ公平な市場アクセスを認めない国を特定し、懸念が大きい順に「優先国(Priority Foreign Country)」「優先監視国(Priority Watch List)」「監視国(Watch List)」に指定するものです。「優先国」に指定した場合、USTRは指定から30日以内に同法301条に基づく調査を開始するかどうかを決定し、調査を開始する場合には当該国との協議を要請したうえで、その結果によっては、追加関税などの対抗措置を講じる可能性があります。
2026年版の報告書では、ベトナムが、2013年のウクライナ以来13年ぶりに「優先国」に指定されました。USTRは、オンライン海賊版対策の不十分さ、偽造品対策の不十分さやソフトウェアの無許可使用に対する対策の欠如などを主な理由として挙げています。
また、中国、インド、インドネシア、ロシア、ベネズエラ、チリが「優先監視国」に掲載され、EUは、一般医薬品法(GPL)に関する暫定合意、地理的表示(GI)に関する問題、デジタル著作権に影響を与える法規制を理由に、新たに「監視国」に追加されました。アルゼンチンおよびメキシコは、それぞれ、相互貿易投資協定締結及び協議強化を理由に、「優先監視国」から「監視国」へ移行しました。一方、ブルガリアはオンライン海賊版に対する刑事訴追など執行措置の強化が評価され、「監視国」から除外されました。その結果、今年度の掲載対象は合計26の国・地域となりました。
日本に関しては、報告書において知財保護水準の高い国として扱われており、「優先監視国」や「監視国」には指定されていません。一方で、日本の薬価制度について、透明性・予測可能性の欠如が問題として言及されています。
また、2026年版の報告書では、オンライン海賊版対策、模倣品対策、営業秘密保護、医薬・医療機器分野の市場アクセス、標準必須特許(SEP)など、近年重要性が高まる分野への言及が強化されています。
特に、知財と標準化(Intellectual Property and Standards)に関する新たな章が設けられ、5G・AI時代を背景に、標準必須特許(SEP)を巡る各国の制度設計や裁判実務への関心が高まっていることが示されました。
報告書全文は以下からご覧いただけます。
https://ustr.gov/sites/default/files/files/Press/Releases/2026/2026%20Special%20301%20Report.pdf

