【米国】米国政府監査院、バイ・ドール法下の発明開示・権利取得の実態を分析

2026年05月NEW

バイ・ドール法は、連邦資金による研究成果の実用化を促進することを目的として1980年に成立した米国の連邦法であり、所定の条件の下で大学や企業等に特許権の帰属を認める制度です。
2026年4月13日、米国政府監査院(United States Government Accountability Office: GAO)は、本制度に基づく発明の権利取得状況および開示手続の実態に関する報告書を公表しました。主な内容は以下のとおりです。

1.権利取得状況
2020~2024年度に連邦政府へ開示された発明のうち、受託機関が権利取得を選択した割合は56%でした。
一方、権利を放棄した割合は21%、権利取得の要否を検討中の割合は18%とされています。
権利放棄の主な理由としては、商業化の可能性が低いこと(72.2%)、特許適格性の欠如(10.3%)などが挙げられています。

2.開示・報告手続に関する課題
関係者からは、以下のような実務上の課題が指摘されています。
・連邦機関ごとに手続要件が異なることによる負担
・商業化に関する報告義務の負担

3.統一システム(iEdison)について
開示手続の効率化を図るため、多くの連邦機関において、米国国立標準技術研究所(NIST)が運用する統一システム「iEdison」の利用が進められており、各連邦機関でのより一貫した運用に向けた取組も進められています。

同システムについては、手続上の事務負担の軽減に資するとの評価がある一方で、以下のような課題も指摘されています。
・入力項目の自由度が高いことに起因する情報内容のばらつき
・提出内容の確認・検証に係る政府側の負担の増大

また、連邦資金の援助の結果として発明に至らなかった場合については、同システム上で報告する仕組みが設けられていない点も課題とされています。

なお、NISTは2026年3月より、iEdisonにおける情報開示のサンプルフォーマットの提供を開始しており、今後、手続の標準化および運用の一層の統一が進むことが期待されています。

日本においては、産業技術力強化法等に基づき、国の委託研究から生じた発明について、一定の条件の下で受託者への権利帰属を認める制度が整備されており、いわゆる「日本版バイ・ドール制度」として運用されています。

2026年4月13日付けGAO報告書については、以下をご参照ください。
https://www.gao.gov/products/gao-26-107971