【米国】USPTO、PTABの知見を審査に還元する「LOOP」プログラムの成果を公表
2026年10月NEW
米国特許商標庁(USPTO)は2026年9月22日、Squires長官のブログにおいて、特許品質向上プログラム「LOOP(Learning from Outcomes to Optimize Patents)」の成果を公表しました。
https://www.uspto.gov/blog/loop-around-sun-and-patent-quality
LOOPは、PTABの特許付与後手続で明らかになった先行技術調査や審査上の課題を分析し、そこで得られた知見を特許審査に生かす取組みとして、2026年初頭に開始されたものです。
USPTOは、「裁量的判断」と「内容面に基づく判断」を分離しました。このうち裁量的判断は、長官室が担う運用に移行しました。長官室は、特許付与後手続の申立人が審査上の明らかな誤りを指摘した案件については、特許付与後手続を開始するかどうかを内容面から再検討する運用としています。USPTOは、裁量的判断に関して提出された書面を数百件検討する中で、改善点やベストプラクティスに関するデータを蓄積し、これを審査実務の改善に活用しています。
LOOPでは、これまでに約150件の特許付与後手続が分析され、そこから得られた知見が審査官研修に反映されています。約4,200時間のライブ研修が実施され、受講者の86%が、研修内容は日常業務に役立つと回答しました。さらに、86名の審査官、73名の監督審査官(SPE)、21名の署名権者に対して個別のフィードバックが行われ、154時間の直接指導・メンタリングも実施されました。6か月間にわたる研修シリーズの6本の動画をまとめたライブラリも整備され、審査官が必要に応じて視聴・復習できるようになっています。
審査官は、特許付与後手続で特許が直面する実際の課題を知ることで、より網羅的かつ的を絞った先行技術調査、より明確で後の争いにも耐えうる審査記録の作成、特許査定の理由(reason for allowance)の明確化、特許付与前の典型的な誤りの回避について、理解を深められるとされています。また、申立人が指摘した調査上の問題点も、先行技術調査手法を改善するための材料として活用されています。
今後の取組みとして、USPTOは「2026 Pre-Appeal and Appeal Pilot Program(2026年審判前レビュー・審判パイロットプログラム)」も発表しました。これは、テクノロジーセンター1700を対象として、PTAB判事が審判前レビュー/審判協議(Pre-Appeal / Appeal Conference)に参加するもので、PTAB判事による計300時間の専門的知見の提供を通じて、リアルタイムのフィードバックにより審査官の答弁書(Examiner’s Answer)の質を高めることを目指すものです。成果が確認されれば、他のテクノロジーセンターにも拡大する方針です。また、次回のLOOPでは、テーマ別の深掘りと、PTAB判事と審査官が協働する双方向のワークショップが予定されています。

