2014年の知財トピックス

2014年12月

2014年

12月
■欧州特許庁の改訂された審査ガイドラインが、2014年11月1日に発効しました。主な改訂事項の概要は、以下の通りです。
(1) EPC規則36条の改正(分割出願の時期的制限の緩和)の反映(審査ガイドライン パートC)
(2) EPC規則164条の改正(発明の単一性要件を満たしていないとして調査が行われなかった発明についても、追加の調査手数料の支払いにより調査が行われる)の反映(パートB、C及びF等)
(3) 補正の要件(新規事項の追加か否か)の説明の明確化(出願当初に開示された事項を評価する際の注意点(当業者の視点が重要)の追記等)(パートH)
(4) 医薬用途クレームの記載に関する説明の明確化(パートG)

■USPTOは、2014年10月9日に、優先審査(トラックⅠ)に関する統計を発表しました。この統計によれば、優先審査の申請件数は、2012会計年度(2011年10月~2012年9月)は5024件であったのに対し、2014会計年度(2013年10月~2014年9月)は9054件であり、2年間で1.8倍になりました。優先審査の対象となる主な要件は、2011年9月26日以降の出願であること、独立クレームの数が4以下でクレームの総数が30以下、かつ多数項従属クレームが含まれていないこと等です。優先審査が受理されてからファーストアクションまでの期間は平均で2.42ヶ月であり、最終処分までの期間は平均で6.05ヶ月です。なお、PCT国内移行出願は優先審査の対象とはなりませんが、RCEをすると対象となります。また、PCT出願に基づくバイパス継続出願をすることにより優先審査の対象となります。

■2014年9月25日に、第46回PCT同盟総会において、シンガポール知的所有権庁が、PCTにおける国際調査機関及び国際予備審査機関として選定されました。運用は、2015年初頭に開始される見込みです。

11月
■欧州特許庁は、特許出願の審査促進のための新たなスキーム「Early Certainty from Search」を導入しました。その概要は、以下を目標とするというものです。
(1) 出願から6ヶ月以内に、調査報告及び見解書を発行する。
(2) 審査未着手の出願よりも、着手済の出願の審査を完了することを優先する。
(3) 調査見解書が肯定的であれば、速やかに特許査定を行う。
(4) 実体的な内容を伴い、かつ身元を明示した上で情報提供(third party observations)がなされている出願、異議申立、並びに限定(limitation)請求及び取消(revocation)請求を、優先して処理する。

■特許庁は、マレーシア特許庁との間で、2014年10月1日より特許審査ハイウェイ(PPH)を試行することに合意しました。今回の合意により、わが国がPPHを締結した国・地域は30となり、ASEANでは、シンガポール、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシアの5ヶ国となります。

■2014年10月1日に、ロシア改正民法第4部(知的財産)が施行されました。特許及び実用新案に関する主要な改正点は、次の通りです。
(1) 実用新案の審査に、実体審査が導入されました。
(2) 2015年1月1日以降に出願した場合、実用新案権の存続期間を、出願日から10年を超えて延長することはできません(改正前は、最長で出願日から13年まで延長できました)。
(3) 特許及び実用新案の実体審査において、「十分な開示」が要件として求められることが、明記されました。
(4) オフィスアクションへの応答期限が、「オフィスアクションの送付日から3ヶ月」に変更されました。
(※ なお、今回の改正については、詳細な情報が十分に告知されておらず、不明な点が多々あります。詳細な情報が得られ次第、当所ホームページ「世界の特許・実用新案制度(ロシア連邦)」を更新する予定です。)

■2014年9月2日に、クウェートが工業所有権の保護に関するパリ条約の加入書を寄託し、パリ条約の締約国数は176となりました。クウェートは、2014年12月2日からパリ条約に拘束されます。

10月
■中国の第12 期全国人民代表大会第10 回会議において、最高人民法院が提出した「北京、上海、広州での知的財産権法院の設置に関する決定(草案)」が許可されました。これにより中国でも知的財産権専門裁判所が新設されることになります。新設される知的財産権法院は、中級人民法院と同じクラスであり、特許(専利)、植物新品種、集積回路配置設計、営業秘密(ノウハウ)等の知的財産権関連の民事訴訟及び行政訴訟を所轄します。

■米国では、パテントトロールを放置できないとして、ホワイトハウス、議会、裁判所が、それぞれ対策を打ち出しています。例えば最高裁は、Nautilus判決で、従来のCAFC基準を退け、明確性欠如を理由とする特許無効のハードルを下げました。そのような中で、8月6日に5名の上院議員が、商務長官宛に特許の品質向上に関するレターを提出しました。そのレターの趣旨は、「特許の質を改善すれば、パテントトロールの活動は抑制される。」というものであり、具体的には、(1)審査官のマネジメント及び業績評価基準を、量よりも質を重視するように見直すこと;(2)審査過程での曖昧さ解消の記録を残すように審査官を指示し、それにより、当初の意図や明らかになった用語についての明確なヒストリーをつくり、将来特許が歪められないようにすべきであり、更に、出願人とのやりとりをどの程度の詳しさで記録すべきかについて審査官を指導すること;(3)USPTOは、機能的クレーム(functional claiming)についての懸念を解消する追加措置を講じること;(4)特許の質向上とクレームの明確性確保に関して、曖昧さを生じて訴訟リスクを生み出す可能性の高い特許のタイプを特定するために、クラウドソーシング及びデータ分析の利用を拡大すべきこと;(5)特許とそのヒストリーに関する情報への公衆のアクセスを確実なものにし、USPTOのウェブサイトから公衆がサーチできる情報を拡大すべきこと;等を提言しています。特許改革を支持するロビー団体からは、これらの提言を歓迎する声明が出されています。

■USPTO特許審判部(PTAB)は、8月5日に、特許付与後レビュー(Post Grant Review)の申請を初めて受理しました。特許付与後レビューを申請できる対象は、出願日が2013年3月16日以降の特許出願に付与された特許に限定されているため、これまで申請はありませんでした。今般の特許付与後レビューの申請がなされた特許は、U.S. Patent 8,684,420です。

■9月13日に、ニュージーランド改正特許法が施行されました。主要な改正点は次の通りです。
(1) 新規性の判断基準が、内外国公知公用、内外国刊行物となりました。
(2) 進歩性と有用性が特許要件に追加されました。
(3) 出願審査請求制度、出願公開制度が導入されました。
(4) 新規性喪失の例外、不特許事由、実体審査(特に、Acceptance deadline)、異議申立、無効審判等について変更されました。 今回の改正により、ニュージーランドの特許制度は、オーストラリアの特許制度に近づきました。 より詳しくは、当所ホームページ「世界の特許・実用新案制度(ニュージーランド)」でご覧いただけます。

9月
■経済産業省の平成26年7月28日付けのNews Releaseによると、特許庁と独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は、外国語特許文献の機械翻訳の必要性が増加したことにより、中国語、ASEAN 言語等の機械翻訳の精度向上及び活用促進のための協力を進めることで合意しました。近年、非欧米諸国、特に中国の出願件数が大きく増加しており、このような外国語特許文献の調査の必要性がますます高まっています。上記協力が実現すれば、特許文献由来の高品質な対訳コーパス(異なる言語の翻訳関係にある文と文の対)の普及などによる民間の特許文献機械翻訳サービスの高品質化や、特許庁での機械翻訳活用による特許審査の効率化・高品質化などが期待されます。

■ジェトロのインド知的財産ニュースによると、インド特許庁は、2014年7月7日に、特許本庁と支庁間で出願案件の移管を行うプロジェクトの試行を開始したと発表しました。インド特許庁は、コルカタ本庁並びにデリー、ムンバイ及びチェンナイの3支庁の計4庁からなり、それぞれが、土地管轄に基づいて出願受理と審査を行っています。各出願は出願受理を行った所轄庁で審査されますが、2013年の特許規則改正により特許規則4(3)が新設され、受理庁以外の庁に案件を移管できるようになりました。この規則により、審査が遅延している所轄庁の案件を他の庁に移管することができ、各庁の審査官の専門性に応じた案件処理、各庁のワークロードの均一化が可能となります。今回の試行は、デリー支庁の電気・電子分野の出願100件が対象となります。

■CAFCは、In re Rosline Institute事件において、羊のクローンそのものは米国特許法第101条の特許主題として認められないとの特許庁審判部の審決を支持しました。特許庁審判部は、クレームされたクローンの主題は自然現象から構成されていて、「自然界のものとは著しく異なる特徴を有していない」とし、クローンは自然界にあるものと同一であるので、米国特許法第101条の特許事由に適合しないと認定しました。控訴審のCAFC は、この特許庁審判部の特許事由ではないとする審決を支持しました。

■米国最高裁判所は、Nautilus, Inc. v. Biosig Instruments, Inc.事件について、全会一致で、CAFCの判決を破棄し、差し戻しました。CAFCは、米国特許法第112条(b)について、特許法の有効性の推定規定を重視して、クレームが解釈の余地があり(amenable to construction)解釈不能なほどに曖昧(insolubly ambiguous)ではない場合は、不明確ではないと判断していました。今回、最高裁は、CAFC基準を退け、「クレームが、特許明細書や出願経過に照らして読んでも、発明範囲を当業者に合理的確実性(reasonable certainty)をもって告知していない場合」には、不明確として無効であるという判断基準を示しました。このように米国最高裁は、明確性欠如を理由とする特許無効のハードルを下げました。従って、出願人は、今後は、クレームや明細書をより明確に記載する必要があると思われます。

8月
■米国知的財産権者協会(IPO)は、2013年の米国特許取得企業トップ300を公表しました。1位~10位までは、IBM(6788件)、サムスン電子(4652件)、キャノン(3918件)、ソニー(3316件)、LG電子(3117件)、マイクロソフト(2814件)、東芝(2679件)、パナソニック(2649件)、日立製作所(2399件)、グーグル(2190件)でした。日本企業はトップ10に5社が入りました。IBMは21年連続で1位であり、サムスン電子は7年連続で2位でした。

■米国連邦最高裁判所は、Limelight Networks, Inc. v. Akamai Technologies, Inc., et al事件において、CAFCが大法廷で示した誘導侵害についての判断を、全会一致で否定し差し戻しました。即ち、最高裁は、特許法第271条(b)の誘導侵害において、複数当事者のいずれもが直接侵害を犯していない場合でも、一当事者が複数工程からなる方法クレームの一部の工程を実施し、他の当事者に残りの工程を実施するように誘導した場合は侵害誘導責任を問える、としたCAFCの大法廷判決を覆しました。これにより、最高裁は、直接侵害が生じている場合にのみ侵害誘導の責任を問えるとする旧来の判例法を維持し、誘導侵害の成立のためには単独当事者による直接侵害が必要であると判示しました。その結果、今後は、複数工程の実施行為を分担させることによって誘導侵害の回避を容易に行い得ることになるので、この点を修正するための法改正がなされるかどうかが注目されています。

■韓国特許庁は、ソフトウェア関連発明の保護対象範囲を拡大すると発表しました。「コンピュータ・ソフトウェア関連発明の審査基準」の改正により、コンピュータプログラムが、ハードウェアと結合して媒体に記録されていることを条件として、特許法上の物の発明として認められることになります。改正審査基準は、2014年7月1日以降に出願されるコンピュータプログラムの請求項に対して適用されます。今回の審査基準改正は、コンピュータプログラムも特許の保護対象として認める米国、日本、欧州等の主要国の特許制度との調和を図るためのものと思われます。

7月
■ベトナム商工業省市場管理局が公開した報告書では、偽造品の頻発地域が中国からベトナムへとシフトしつつあることが窺えます。すなわち、ベトナム国内での2010年の偽造品生産および流通件数は10,500件で違反者への罰金総額は444億ベトナムドンであったのに対し、2013年には14,000件で620億ベトナムドンに増加しました。これは、偽造品生産においても、中国での労働コストの増加により生産拠点がベトナムに移転する傾向があることと、中国の偽造品に対する厳しい輸入審査を回避するためにベトナムでの偽造品生産が促されていることによると考えられます。

■米国連邦最高裁判所は、(i)敗訴者が勝訴者の弁護士費用を負担する条件を緩和するOctane判決、および、(ii)敗訴者が勝訴者の弁護士費用を負担すべしとした地裁判決を逆転させたCAFCの判決を破棄するHighmark判決を下しました。これらの判決は、特許権濫用者(いわゆるパテントトロール)による訴訟提起を抑制する効果があると思われます。すなわち、パテントトロールは、弁護士費用を含む訴訟費用よりも安価なライセンス料を提示し、そのようなライセンス料を得ることを主なビジネスモデルとしていますが、これまでは勝訴者側の弁護士費用を敗訴者側に負担させることはほとんど認められておらず、このことがパテントトロールが訴訟を頻発させる要因になっていたと言われています。しかし、上記最高裁判決により、今後は弁護士費用負担の条件が緩和されると考えられるため、結果としてパテントトロール訴訟が抑制されるようになる可能性があると思われます。

■韓国特許法が改正されました。この改正により、例えば、優先日から14月以内に韓国語翻訳文を提出することを条件に、外国語明細書(現時点では英語のみが認定されており、将来的には認定言語は増える予定)で出願しても出願日が認められるようになります。施行日は、2015年1月1日の予定です。また、外国語PCT出願について、(1)延長申請により韓国語翻訳文を優先日から32月まで提出できるようになり、(2)誤訳訂正制度が導入され、翻訳文の誤訳を外国語原文の範囲内で訂正できるようになります。これら(1)および(2)は、国際出願日が2015年1月1日以降の国際出願に適用される予定です。

■特許庁では、中小企業の戦略的な外国出願を促進するため、外国への事業展開等を計画している中小企業に対して外国出願にかかる費用の半額を助成していますが、これまでは、支援が受けられなかった県がありました。しかし、平成26年度からは、全ての都道府県で支援が受けられるようになりました。補助対象経費は、外国特許庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費用等であり、案件ごとの補助の上限額は、例えば特許出願では150万円です。詳しくは、下記の特許庁HPより確認できます。
http://www.jpo.go.jp/sesaku/shien_gaikokusyutugan.htm →

6月
■特許法等の一部を改正する法律が、2014年4月25日に第186回通常国会で成立しました。本改正法には、「特許異議の申立て制度」の創設等が盛り込まれています。この制度は、異議申立を特許掲載公報の発行の日から6月以内に限り可能としており、特許権の早期安定化を可能とすることを意図しています。一方、特許無効審判は、従来通り特許権の設定登録後原則としていつでも請求できますが、今般の改正後は利害関係人に限り請求できることになります。

■欧州委員会は、欧州連合(EU)が生物多様性条約の名古屋議定書に規定された義務を履行するための「遺伝資源へのアクセス及びそのEU内での利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分に関する規則」を採択したこと、及びEU理事会が名古屋議定書を批准する権限をEUに与える決定を行ったことを発表しました。名古屋議定書は、適法に採取された遺伝資源のみが領域内で利用されるようにするための措置を確保することを締約国に義務付けています。

■指定官庁としての米国特許商標庁(USPTO)は、一部のPCT規則と国内法令との不適合の通知を取り下げることを国際事務局に通知しました。当該不適合通知の取下げの結果、2013年12月18日以降、USPTOは、PCT出願における優先権の回復の請求を指定官庁として考慮するようになり、必要な条件を満たせば、受理官庁たる他の官庁による優先権の回復に関する決定を受入れることになります。よって、PCT出願経由でも米国において優先権を回復できる場合があり得ることになります。

■中国における2013年度の実用新型専利出願件数のうち、外国からの出願件数は、日本3,048件、米国1,638件、ドイツ727件、韓国253件の順でした。日本からの実用新型専利の出願件数は、2010年度から4年連続で前年度より増加しており、2013年度は、2010年度(242件)に比べて12.6倍と伸びています。日本企業が、最近、中国実用新型専利制度を活用していることが窺われます。

5月
■インド政府は、2014年2月28日に、料金改定を目的とした改正特許規則を施行しました。法人による出願に対しては、各手続きに対して自然人の概ね5倍の料金がかかりますが、中小企業に対しては、概ね大企業の半額という減額措置が新たに導入されました。すなわち、従前からあった「自然人」、「法人」のカテゴリーに対し、「法人」を「中小企業(small entity)」と「中小企業以外の法人」に細分化し、料金の比を、自然人:中小企業:中小企業以外の法人=1 : 2.5 : 5としました。

■USPTOは、2014年3月4日、自然法則、自然現象若しくは天然物を記載し又は含むクレームの特許適格性に対するガイドラインを公表しました。このガイドラインは、2012年3月20日にPrometheus Laboratories, Inc.の投薬方法発明に対して米連邦最高裁が特許適格性無しとした判決、および2013年6月13日に同最高裁がMyriad Genetics, Inc.のDNA発明は特許適格性無しとした判決の判示内容を取り入れて作成されたものです。このガイドラインには、クレーム(物の発明及び方法発明)の審査において法的例外事項(自然法則、自然現象、天然物)と”著しく異なる(significantly different)”かどうかが判断されること、その具体的な判断手法、いくつかの仮想具体例等が記載されています。

■インド特許意匠商標総局が2014年3月に公表した2012年度の年報によりますと、出願件数は、前年(2011年)との比較で特許及び商標については増加しましたが、意匠については若干ですが減少しました。2012年度のインドへの特許出願件数は、日本は6,284件で、欧州(11,456件)、米国(10,295件)、インド国内(9,911件)に次いで、4番目でした。

■2014年3月13日付のWIPOプレスリリースによりますと、2013年のPCT国際出願の総数は、過去最大の約205,300件であり、2012年比で5.1%増となりました。2013年における出願件数の上位10ヶ国は、米国(57,239件)、日本(43,918件)、中国(21,516件)、ドイツ(17,927件)、韓国(12,386件)、フランス(7,899件)、英国(4,865件)、スイス(4,367件)、オランダ(4,198件)、スウェーデン(3,960件)でした。

4月
■PCT規則が改正され、2014年7月1日に発効します。改正点は、(1)いくつかの例外を除いて、国際予備審査の際に、国際予備審査機関が、国際調査後に公開された特許文献等を見つけることを目的として補完的に調査を行うようになること、(2)国際調査機関の見解書及び当該見解書に対して出願人によって提出された非公式コメントが、国際公開日から閲覧可能となることです。(1)は2014年7月1日以降に国際予備審査請求を行う国際出願に対して、(2)は2014年7月1日以降に出願した国際出願に対して適用されます。

■韓国特許庁の発表によれば、2013年の特許出願件数は204,589件で、前年比8.3%増加しました。また、2013年の特許登録件数は127,330件で、前年比12.2%増加しました。なお、2013年の国際特許出願件数は12,439件で、前年比4.8%増加しました。

■台湾の2013年の専利出願件数は83,211件で、前年比2.19%減少しました。その内訳は、特許が49,218件(前年比3.85%減)、実用新案が25,025件(同2.38%減)、意匠が8,968件(同8.73%増)でした。外国人による専利出願では、日本が14,013件で第1位、米国が8,432件で第2位、韓国が2,336件で第3位でした。

■韓国特許庁は、2014年3月1日から、出願料(特許、実用新案、商標、デザイン)及び審査請求料(特許、実用新案)を引き上げました。ただし、これは2014年3月1日以降の出願に適用されます。従って、2014年2月28日以前の出願の審査請求料については、改正前の料金が適用されます。また、分割出願及び変更出願の料金については、原出願日が基準になります。従って、2014年2月28日以前の出願を原出願とする分割出願及び変更出願には、改正前の出願料及び審査請求料が適用されます。

3月
■米国特許出願において継続審査請求(RCE) をした場合のPTAについて、USPTOのPTA計算方法を一部否定するCAFC判決が出ました。これまでUSPTOは、出願人がRCEをすると、その時点以降から特許発行までの期間はB-delayに基づくPTA計算に含めることはできないとしていました。今回、CAFCは、このUSPTOの立場を否定し、RCEを行ったケースであっても、特許許可通知(Notice of Allowance)から特許発行までの期間は「継続審査に費やされた期間」ではないので、B-delayの計算に含められるとの判決を出しました。これにより、RCEを行ったケースについて、USPTOが従来認めていた期間よりも、より長期のPTAが得られる可能性が生じます。
■欧州特許庁は、2013年の出願件数(速報値)を公表しました。それによりますと、出願件数は265,000件(前年比2.8%増)、登録件数は66,700件(前年比1.7%増)でした。また、出願人国籍別の出願件数では、EPC締約国(38ヶ国)が最多(93,600件)であり、次いで、米国(64,800件)、日本(52,300件)、中国(22,200件)及び韓国(16,900件)の順でした。

■欧州特許庁は、2014年4月1日より(1)既存の手続料金を値上げすること、及び(2)2世代目以降の分割出願に対する追加手数料を新設することを、公表しました。(1)としては、出願料、クレーム料、調査手数料等が、平均4.3%値上げされます。また、(2)としては、2、3及び4世代目の分割出願に、210、420及び630ユーロがそれぞれ課金され、5世代目以降の分割出願に、840ユーロが課金されます。

■中国国家知識産権局は、2013年度の専利出願統計の速報を公表しました。それによると、発明専利出願は825,000件(前年比26%増)、実用新型専利出願は892,000件(前年比21%増)、意匠専利出願は659,000件(前年比0.3%増)であり、これらの合計は2,377,000件でした。外国からの専利出願(発明、実用新型、意匠)は、前年比で6%減少しましたが、実用新型専利出願は、前年比で22%増加しました。

■ブラジル特許庁は、2013年12月17日に新しい特許審査ガイドラインを発表しました。それによると、例えば、“consisting of”を用いたクレームはクローズドクレームであり、“comprising”を用いたクレームはオープンクレームであることが明確にされました。また例えば、分割出願はさらに分割できないことが明文化されました。

2月
■ニュージーランド特許法が改正されました。改正法の全体(一部は既に施行済み)は、遅くとも2014年9月13日までに施行される見込みです。

■米国特許商標庁の公表した2013年度版の年報によれば、米国における2013年度の特許出願件数及び発行件数は、いずれも前年度より増加しています(意匠特許、植物特許、再発行特許を含みます)。また、米国における2013年度の特許発行件数の上位5ヶ国(ただし米国は除く)は、上から順に日本、ドイツ、韓国、台湾、カナダです。

■台湾知的財産局によれば、2014年1月1日から、グリーン・エネルギー関連発明(省エネ技術、新エネルギー、新エネルギー自動車、温室効果ガス排出削減、エネルギー資源消費の節減等)の特許出願について、加速審査の申請ができることになりました。2013年3月までの台湾におけるグリーン・エネルギー関連特許出願の出願人の国籍は、1位が台湾(58%)、2位が日本(20%)、3位が米国(9%)となっています。

■ドイツにおいて特許法が改正されました。例えば、外国語での出願に関して、英語とフランス語の出願書類について翻訳文の提出期限が出願書類の提出後12ヶ月に延長され、また、異議申立期限が特許付与の公告後9ヶ月に延長される等の改正事項が、2014年4月1日から施行されます。

1月
■シンガポール特許法が改正されました。改正法は、2014年2月14日以降の特許出願に適用されます。

■日本を含む13ヶ国・地域(米国、韓国、英国、デンマーク、フィンランド、ロシア、カナダ、スペイン、北欧特許庁、ノルウェー、ポルトガル、オーストラリア、日本)の間で全ての種類のPPHが利用可能となる「グローバル特許審査ハイウェイ」を、2014年1月6日から開始することが合意されました。これによれば、国によりどのPPH が利用可能なのか区別する必要がなくなります。

■中国国家知識産権局によれば、専利審査指南の改正が2013年10月15日より施行されました。この改正により、実用新案登録出願の初歩審査において、明らかな新規性の欠如や二重登録に関する審査プラクティスが変更されました。

■米国における特許法条約およびその施行規則の施行(2013年12月18日)に伴い、新たなプラクティスが始まりました。例えば、米国において優先権主張出願をする場合には、優先期間(特許出願:12ヶ月)を経過していても、それが故意でないときは、優先期間経過後2ヶ月以内であれば優先権を回復する手続をとることができます。