LEC出る順シリーズ事件 どこまでも行こう vs. 記念樹 事件 けろけろけろっぴ事件 The Wall Street Journal事件

【著作権:資料】 参考裁判例

■LEC出る順シリーズ事件(東京地判平成16年6月25日)-類似性肯定

人形を肌色一色で表現した上、人形の体型をA型にして手足を大きくすることで全体的なバランスを保ち、手のひらの上に載せた物が見る人の目をひくように強調するため、左手の手のひらを肩の高さまで持ち上げた上、手のひらの上に載せられた物を人形の半身程度の大きさに表現するという表現方法は、Xの思想又は感情の創作的表現というべきであり、Xイラスト1の特徴的な部分であるということができる。

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■どこまでも行こう vs. 記念樹 事件(東京高判平成14年9月6日)―類似性肯定

この事件では、服部克久氏の作曲した「記念樹」との楽曲が、原告・小林亜星氏の「どこまでも行こう」と類似するか否かが問題となりましたが、東京高裁は、「各フレーズの最初の3音以上と最後の音が一致」していること、他に類例を見ないほど多くの一致する音を含むこと(約72%)を根拠に類似性を肯定しました。

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■けろけろけろっぴ事件(東京高判平成13年1月23日)ー類似性否定

この事件では、被告のキャラクター「けろけろけろっぴ」の図柄と原告の図柄の類似性が問題となりましたが、東京高裁は以下のように述べ、類似性を否定しました。

「基本的な表現に注目すると、・・擬人化されたカエルの顔の輪郭を横長の楕円形という形状にすること、その胴体を短くし、これに短い手足をつけることは、擬人化する際のものとして通常予想される範囲内のありふれた表現というべきであり、目玉が丸く顔の輪郭から飛び出していることについては、我が国においてカエルの最も特徴的な部分とされていることの一つに関するものであって、これまた普通に行われる範囲内の表現である。本件著作物は、・・形状、図柄を構成する各要素の配置、色彩等による細部の表現により表現全体として独自の創作性を認めることができる・・・輪郭の線の太さ、目玉の配置、瞳の有無、顔と胴体のバランス、手足の形状、全体の配色等において、表現を異にしている・・。・・Y図柄を、そこから本件著作物を直接感得することができるものとすることはできない。」

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