中古ゲームソフト事件

【著作権:資料】 参考裁判例

■中古ゲームソフト事件(最判平成14年4月25日)

この事件では、中古ゲームソフトを販売する行為が、ゲーム会社の頒布権侵害とならないかが問題となりました。この事件においては、(1)ゲームソフトが映画の著作物にあたるのか、(2)ゲームソフトに頒布権は認められるか、(3)ゲームソフトの頒布権は「消尽」しないか、との3点が問題となりました。最高裁は、ゲームソフトを映画の著作物と認め、頒布件を肯定しつつも、ゲームソフトの頒布権は適法な第一譲渡によって消尽するとして原告の請求を棄却しました。

「特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国の国内において当該特許に係る製品を譲渡した場合には,当該特許製品については特許権はその目的を達成したものとして消尽し,もはや特許権の効力は,当該特許製品を再譲渡する行為等には及ばないことは,当審の判例とするところであり(最高裁平成7年(オ)第1988号同9年7月1日第三小法廷判決・民集51巻6号2299頁),この理は,著作物又はその複製物を譲渡する場合にも,原則として妥当するというべきである。けだし,(ア)著作権法による著作権者の権利の保護は,社会公共の利益との調和の下において実現されなければならないところ,(イ)一般に,商品を譲渡する場合には,譲渡人は目的物について有する権利を譲受人に移転し,譲受人は譲渡人が有していた権利を取得するものであり,著作物又はその複製物が譲渡の目的物として市場での流通に置かれる場合にも,譲受人が当該目的物につき自由に再譲渡をすることができる権利を取得することを前提として,取引行為が行われるものであって,仮に,著作物又はその複製物について譲渡を行う都度著作権者の許諾を要するということになれば,市場における商品の自由な流通が阻害され,著作物又はその複製物の円滑な流通が妨げられて,かえって著作権者自身の利益を害することになるおそれがあり,ひいては「著作者等の権利の保護を図り,もつて文化の発展に寄与する」(著作権法1条)という著作権法の目的にも反することになり,(ウ)他方,著作権者は,著作物又はその複製物を自ら譲渡するに当たって譲渡代金を取得し,又はその利用を許諾するに当たって使用料を取得することができるのであるから,その代償を確保する機会は保障されているものということができ,著作権者又は許諾を受けた者から譲渡された著作物又はその複製物について,著作権者等が二重に利得を得ることを認める必要性は存在しないからである。」