商標権の保全

1.商標権の侵害

1)商標権の侵害とは?

正当な権限のない第三者が登録商標と同一または類似の商標を、登録商標の指定商品または指定役務と同一または類似の商品・役務に使用することをいいます。


正当な権限のない第三者が商標権者の登録商標を指定商品・役務に使用している場合のみならず、登録商標や指定商品・役務の類似範囲においても侵害とされるのは、第三者の類似範囲の使用によって出所混同が生じるからです。

2)侵害の予備的行為

登録商標や専用使用権の効力を強化するため、上の侵害行為のほか、侵害を助長する行為(予備的行為)も侵害として取り扱われます。

例えば以下の行為がこれに該当します。
・商標権を侵害する商品を、誰かに譲渡するために所持する行為
・登録商標を表示する物を製造するための材料や道具を、業として製造したり、 譲渡したりする行為

3)商標の使用とは?

商標権侵害が成立するためには、第三者の行為が商標の「使用」に該当していることが必要です。
商標の「使用」とは以下の行為をいいます。

(1)商品または商品の包装に商標を付する行為
(2)商品または商品の包装に商標を付したものを譲渡、引渡し、譲渡または引渡しのために展示、輸出、輸入、電気通信回線を通じて提供する行為
  
 

*電気通信回線を通じた商品の提供とは?
・ホームページを通じて音楽をダウンロードさせる行為
・顧客の注文に応じてソフトウェアを電子メールに添付して送る行為などをいいます。
これまで、CD-ROMや書籍など有体物として流通していたコンピュータプログラムなどの情報財が、近年ダウンロード技術の発達によりネットワークを通じて流通するようになりました。このような情勢に合致するよう平成14年の一部法改正により規定されたものです。
*平成18年の一部法改正により模倣品対策の強化を図るために、商標の使用行為に「輸出」の行為が追加されました。

(3)サービスの提供にあたり、需要者が利用する物に商標を付する行為や、その物を用いてサービスを提供する行為
例えば・・・飲食店で提供する料理の皿やコップに商標を付する行為
上記の皿やコップを使用して飲食物を提供する行為
(4)サービスの提供のために使用する物に商標を付し、サービスの提供のために展示する行為
例えば・・・喫茶店のコーヒーサイフォンに商標を付し、店内において展示する行為
(5)サービスの提供にあたり、需要者の物に商標を付する行為
例えば・・・自己の商標を付したクリーニングのタグを、客の洋服につける行為
(6)映像面に商標を表示してサービスを提供する行為
例えば・・・オンラインゲーム、モバイルバンキング
*この商標の使用の定義はインターネットや携帯電話端末による各種情報提供サービスの出現に対応するため、平成14年一部法改正により新設されたものです。
(7)商品またはサービスに関する広告、価格表、取引書類に商標を付して展示または頒布する行為、またはこれらを内容とする情報に商標を付してオンライン上など電磁的方法により提供する行為
 

*電磁的方法により提供する、広告等を内容とする情報とは?
・インターネット上のバナー広告
・オンライン取引における契約画面などをいいます。
ネットビジネスの急速な発展により、各企業がホームページ上の申し込みフォームを用いて契約を締結することが多くなったことに鑑み、平成14年の一部法改正により規定されました。

(8)商品の譲渡、引渡しまたはサービスの提供のために音の商標を発する行為
例えば・・・機器を用いて音の商標を再生する行為
*この商標の使用の定義は、音の商標が保護対象に追加されることに伴って、平成26年の一部法改正により規定されたものです。
 ※形式的には上記の商標の「使用」にあたる行為であっても、商品に表わされた文字や図形が出所表示機能を果たさない場合や、使用されている商品がノベル ティー商品にすぎない場合などは、商標法上の商標の「使用」には該当しないとして侵害の成立が否定されることがあります。
よって、商標権侵害の成否については、第三者による商標の使用態様、使用商品・サービスなどを考慮して念入りに検討される必要があります。具体的な事案につきましては、弁理士にご相談ください。

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