海外での権利取得

3.欧州連合商標(EUTM)

ヨーロッパ諸国での商標登録を希望される場合は、欧州連合商標(EUTM:European Union Trade Mark)の制度(従前の共同体商標(CTM, Community Trade Mark)が2016年3月23日に改称されました。)を利用する方法もあります。日本国民および日本企業は、EUTMの出願人適格を有します。

1)EUTMの概要

 

1.特徴

欧州連合知的財産庁(EUIPO:European Union Intellectual Property
Office)における1件の登録でEUTM加盟国全体をカバーする商標権の
取得(従前の欧州共同体商標意匠庁(OHIM)が2016年3月23日に改称
されました。)が可能です。
EUTMの権利は、登録・移転・放棄・取消・無効等について、常に一体のものとして扱われます。
権利の存続期間は出願日より10年(更新可能)。

2.どんな国で保護されるのか?

EU加盟国である以下の28カ国において保護されます。

オーストリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、デンマーク、フィンランド、フランス、
ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、英国、 チェコ、エストニア、キプロス、ラトヴィア、
リトアニア、ハンガリー、マルタ、ポーランド、スロベニア、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア、クロアチア

(スイス、ロシア、ノルウェーはEU加盟国でありません。また、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインはEEA(欧州経済領域)でEU加盟国ではありません。)
※英国のEU離脱については、英国で有効な権利維持のための移行措置が取られる予定です。

3.どのような商標が保護されるのか?


文字、図形、記号、立体、音響、色彩、ホログラム、動き、においが保護対象となります。
*標章を図として表示する必要がなくなり、一定の非伝統的商標のEUTM登録が認められやすくなると考えられます。

4.どのような手続をとるのか?


(1)出願
EUIPOもしくは各加盟国の特許商標庁またはベネルクス商標庁に出願します。
*言語…

欧州共同体の公式言語(22カ国語)のいずれかで出願することができますが、

第2言語としてEUIPOの公式言語(英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語)

のいずれかを選択します。

*2016年3月23日より従前の3区分について出願できる仕組みではなく各区分につき出願料を支払います。
出願手数料: 1区分 EUR850 (電子出願)
(2区分目は EUR50追加)
(3区分目以降は1区分につき EUR150追加)

(2)審査
方式審査と絶対的拒絶理由の審査のみ行われます。先行商標との関係(相対的拒絶理由)についての審査はありません。

絶対的拒絶理由は主として次の場合に通知されます
 ① 紋章または記号からなる商標である場合
 ②自他商品の識別力を備えていない場合
 ③公序良俗に反する商標である場合

拒絶理由書が送達された場合、意見書および補正書を提出する機会が与えられます。それでも拒絶理由が解消しない場合は、拒絶査定されます。
尚、拒絶査定に対しては、審判を請求して再び争うことができますが、そのかわりに各国出願に変更することも可能です。
この場合、拒絶の確定日または取下げ日から3カ月以内の対応が必要です。

(3)調査報告書
EUIPOが先行するEUTMについて調査するには別途請求が必要です。これまでの先行する国内登録および出願についての調査と同様の運用になりました。
これらの調査結果は出願人に通知され、EUTM登録の可能性を判断する一材料となります。

(4)商品及び役務の指定
2016年3月23日の規則改定により、商品及び役務の指定は出願時に記載された用語が文言通り解釈されます(IP Translator判決)。

(5)異議申立て
 ① 異議申立期間…出願の公開から1カ月後に3カ月の異議申立期間が開始します。
 ② 異議申立ての理由

絶対的拒絶理由
相対的拒絶理由(同一または類似の先行商標に基づく拒絶理由)

③ 願人の対応

真正なる使用の立証請求
2016年3月23日以降、異議申立人は、異議の対象であるEU商標出願の出願日(又は優先日)の5年以上前に登録が付与された場合に限り、
自身の登録商標の真正使用を証明しなければなりません。
補正
各国出願への変換
申立人との和解

なお、上記とは別に、EUIPOでの異議申立ての審理にはいる前2カ月間はクーリングオフ(cooling-off)期間が設けられており、当事者間における紛争解決が可能です。
また、このクーリングオフ期間は、その後22カ月の延長も可能です。

(6)登録手続
異議申立てがないとき、または異議申立てが成立しなかった場合は登録査定されます。
なお、2009年5月より登録料の納付が廃止され、より廉価に商標権の取得ができるようになりました。

 

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