著作権について

  • 今回からいよいよ最終の課題に入ります。最近特に皆様の関心を呼ぶようになったのが、著作権についてです。ただ、著作権といっても、他の知的財産権と違って、その権利の種類および幅が広く複雑なため、何が著作権なのか、内容および実態がよくわからないのではないでしょうか。
    特に最近ではインターネットの普及により、多くの人がさまざまな情報を簡単に得られるようになりました。また、法人・個人を問わず、サイトやブログ、SNS等を通して気軽に発信できます。このように便利になった一方で、他者の作品や文章等を知らずに又は故意に掲載する事例も多発しています。
    例えば、ACCS(一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会)の発表によれば、 最近だけでも、下記侵害案件が生じているとのことです。

      ・漫画「ネタバレサイト」を運営した法人を著作権違反で摘発
      ・レトロゲームの海賊版販売を摘発~海賊版違反出品調査で判明した推定被害は14品目
      ・アニメキャラクターをケーキに無断複製販売を著作権違反で摘発
      ・ゲームキャラクターの違反グッズを販売目的で所持していた男性を逮捕
      ・ビジネスソフト等を販売目的でストレージにアップロードした男性を逮捕
      ・スマホアプリ画像を無断使用した男性に有罪判決
      ・漫画村を通じてアップロードした主犯格男性に実刑判決

    つまり、上記案件は全て著作権に抵触する行為となります。

    ■上記事例で何故著作権違反になるのかをご説明します。

    1) 漫画「ネタバレサイト」では、著作者に無断で漫画のセリフ等を 文字に起こしたものや画像をサイトに掲載していました。当然対象漫画の全て(画像、セリフ、構成等)は作者自身の創意により作成されたものであり、著作物に該当します。これを複製し、改変したものを営利目的に送信することは、著作権の侵害に該当します。
    本件では、調べに対し、当事者は「悪いことだと知っていたが、「引用」の範囲と思っていた」と主張しているようですが、これらの行為は、著作権法に規定されている「引用」の範囲を超える行為と言えます。また、これを第三者に送信することは、著作者が所有している「公衆送信権」を侵害する行為にもなります。 
    2) レトロゲームの海賊版の販売、ゲームキャラクターの無断販売、スマホゲームの画像の無断使用等は、著作者の「複製権」の侵害となります。
    3) 漫画村の案件等は、著作者の「公衆送信権」及び「出版権」の侵害となります。


    ■その他にも、日常の生活で行われている下記行為もそれぞれ著作権の侵害となりますので、注意が必要となります。

    1) 著作物であるCD音源を店内でBGMとして流す行為
    店主が自分で購入したCDの場合、自宅で自分一人で聴いて楽しむ分には侵害となりませんが、店(例えば、喫茶店や飲食店等)で不特定多数の顧客に対して聴かせる場合は、これらの店舗は営利目的の場所であるため、著作者(作曲者)に対し、「著作権使用料」を支払う義務が生じます。現在では、ほとんどの音楽の著作権は、「一般社団法人日本音楽著作権協会」(JASRAC)が管理を行っておりますので、当該JASRACに使用料を支払う手続きが必要となります。ご注意下さい。
    2) 著作物の音楽を生演奏する行為
    公衆を集めた場所(ホール、スナック、パブ等)での生演奏(バンドでの実演、ピアノ演奏等)も、演奏する楽曲には作曲者の著作権が存在するため、使用前には、JASRAC等に確認をとり、著作権の対象の場合には。JASRACに著作音源の使用手続きをとる必要があります。
    3) バレエ等の発表会で、BGMとして音楽を使用する場合
    バレエ等では、クラシック曲を使用する場合が多いですが、かかる場合、使用する音楽の作曲者が亡くなってから50年以上経過していない場合には、著作権の対象となりますが、入場料が無料の場合は営利目的の発表会でないとみなされ、使用料を支払う必要はありません。ただし、入場料を徴取する場合は、作曲者に使用料を支払う必要が生じます。ご注意下さい。

    以 上(完)

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