(1)特許法上の「発明」であること(特許法第29条第1項柱書)

[1] 発明の定義
 特許法では、「発明」は、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」(第2条第1項)と定義されています。
 「自然法則」とは、自然界において一定の原因によって一定の結果をもたらす、すなわち経験的に見出される、科学的な法則を意味します。経済法則などの自然法則以外の法則や、ゲームのルール自体などの人為的な取り決めは、自然法則にあたりません。但し、構成の一部にこれらを含んでいても、発明が全体として自然法則を利用したものであれば、自然法則を利用したものと認められます。例えば、ビジネスの仕組それ自体は「発明」に該当せず、特許となりませんが、コンピュータを利用して実現した新しいビジネスの仕組みは、特許の対象になります。
 特許法上の「発明」であるか否かのポイントは、課題に対する解決手段が自然法則を利用しているかどうかです。エネルギー保存の法則や万有引力の法則などの自然法則それ自体、数学上の公式やゲームのルールなどのように自然法則を利用していないもの、永久機関のように自然法則に反するものなどは、特許法上の「発明」には該当しません。
「技術的思想」とは、技術に関する抽象的なアイデアまたは概念を意味します。「技術」には、第三者に伝達できる客観性が必要であり、個人的な技能や技量は含まれません。フォークボールの投球方法等の個人の技能によるものや、絵画や彫刻などの美的創作物、機械の操作方法についてのマニュアル等の単なる情報の提示は、技術的思想に該当しません。
「創作」とは、従来とは異なる新しいものであって、かつ何らかの案出が行われているものをさし、単なる発見とは区別されます。例えば、天然物自体や自然現象の単なる発見は、創作とは認められません。しかし、天然に存在する中から特定の化学物質や微生物を人為的に単離し、格別の有用性を見出した場合は、創作と認められます。
 「高度」とは、主として実用新案法における考案と特許法における発明とを区別するために規定されたものです。したがって、発明に該当するか否かにおいて、特段の考慮は要しません。

[2] 発明の種類(カテゴリー)
特許法上の発明は、その実施に関連して「物の発明」と「方法の発明」に区分されます。さらに、「方法の発明」は、物を生産する方法の発明とそれ以外の方法(物の生産を伴わない方法)の発明に区分されます。
物の発明には、機械、器具、装置、医薬または化学物質の発明などがあります。物を生産する方法の発明には、医薬の製造方法、植物の作出方法の発明などがあります。また、物の生産を伴わない方法の発明には、操作方法、分析方法または通信方法の発明などがあります。

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